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□『ファースト・マン』

『ファースト・マン』"First Man" 2018(2/8公開)
 1961年、民間のテストパイロットであるニール・アームストロングは、NASAのジェミニ計画の宇宙飛行士に応募する。合格したアームストロングは、ヒューストンに家族とともに移り住み、有人宇宙飛行の訓練に明け暮れる。目標は、月への着陸だった。(監督:デイミアン・チャゼル 出演:ライアン・ゴズリング、クレア・フォイ、ジェイソン・クラーク、カイル・チャンドラー、コリー・ストール、他)



 アポロ11号で月を目指し、着陸し、世界で初めて月に降り立った男「ファースト・マン」であるニール・アームストロング船長の伝記映画です。実話です。実話なんだけど──いやあ、怖い映画でした……。
 最近のリアルな宇宙を舞台にした映画は、とにかく怖い。『インターステラー』『ゼロ・グラビティ』『オデッセイ』──みんな怖い。小さい頃、宇宙はまだ夢の世界だったのに。
 ただニール・アームストロングが月に着陸したのは1969年ですから、私が子供の頃はもう夢の話じゃなかったんですよね。ただ私はその生中継とかは見てないです。歳が一つ違う家族は見たそうなんですけど。
「チャゼルは、本作の物語をスリラー仕立てにしたがった」(パンフレットより)とのことで──その意図は充分伝わりました。スリラーというより、もはやホラー。特に宇宙船の中ではガタガタとかピーピーとか不穏な音や不快な動きが続いているのに、宇宙空間にカメラが移るとまったくの無音のところとか! 宇宙船の中もまったく余地がなく、閉所恐怖症の人が見たら悲鳴をあげそう。ていうか、ほんとに棺桶みたいな場所だよね……。ほとんど身動きできなかったって言うし。
 危険があるかないかもわからないっていうか、自分たちで実験しているようなものだから、飛行士たちが割と簡単に死んでしまう。でも、アームストロングの前職テストパイロット自体もかなり危険だったらしく、そういう点で慣れているから選ばれたのだろうか。
 けど、仕事として慣れているのと気持ちはまた別でしょ、みたいなこともあるんじゃ──と思ったら、そういうことをNASAの面接で訊かれたりしているのよね。特に幼い娘さんが亡くなっていることに関して。
 とにかく、何があっても(例外なし)冷静に的確に行動できる人じゃないと宇宙飛行士にはなれない、というのはわかった。いや、わかってましたけど。今だって、ストレスの多い宇宙空間で長時間すごさなくちゃいけないから、精神的に落ち着いてない人は選ばれないと聞いたことがある。怖くない宇宙映画の乗組員は、みんなダメダメだな(゚Д゚)! ──そうじゃなきゃ話が動かないからね……。
 そう考えると、怖い宇宙映画の登場人物は、みんなアームストロングみたいな人だった。そういう人じゃなきゃ生き延びられない状況って、やっぱり想像するだけで怖い(´・ω・`)……。
 あと怖かったのは、お金がどれくらいかかったかってことね。宇宙に金を回すんなら、地上をどうにかしろ、とそりゃ言われるだろうと。月でのたった二時間半のために、お金や人の命がどんだけ捧げられたのかって。
 でも、宇宙計画が無駄かどうかは、私にはわからない。今やることは他にあるだろ、と言われれば「そうだね」としか言えない。小さい頃は宇宙に夢を馳せたものです。『スター・ウォーズ』や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』みたいな宇宙だと思っていたからね。
 月や宇宙へ行ったことにどんな意味があるかは、私たちよりずっとあとの世代が知ることになるでしょう。それはそれで、宇宙と同じくらい不可解で深遠で、ワクワクする。「知らないことを知りたい」と思うところからすべての学問が始まるように、いつそれが役に立つか誰も知らないんだからね。今は意味あるように見えても、あとから間違いだったと気づくこともある。「知らないから調べる」「行きたいから行く」そして「行けるなら、行く」というシンプルな欲求からすべては始まり、意味がわかったとしてもそこで終わりではないし。
 宇宙が怖いのは、それが「未知」だからだ。未知なものを「知りたい」と思う人の心まで否定はできない。「こんな小さな宇宙船で月に行けたんだったら、自分が『できない』と思ってたことってなんなの?」と感じて、一歩を踏み出す人もいるかもしれない。それは、人類にとってはまったく顧みられないささいな一歩だろうけれど、その人にとっては大きな未来に繋がるかもしれないよね。
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    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
    評価は★★★★★が満点、★★★が標準点クリア。
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