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◆『世界で一番美しい声』ミア・シェリダン

◆『世界で一番美しい声』ミア・シェリダン(扶桑社ロマンス)
 ブリーは、自分と父に降り掛かった忌まわしい事件から逃れるように、故郷シンシナティからメイン州ペリオンへやってきた。しばらくはここで、これからのことを考えるつもり……。そんな中、ブリーは近くに住むアーチャーという青年と出会う。彼もまた、過去のひどい事件によって傷を負い、誰からも顧みられず一人で生きてきた人だった。("Archer's Voice" by Mia Sheridan, 2014)



 非常に評判のよい作品なので、その噂を聞きつけた時に買ったんですけど、ようやく読めた……。
 時間もかかりました。どうもタイミングが悪かったのか(すごく疲れていた……)、とても読むのがしんどく、たびたび中断してしまったのでした。ヒーローヒロインともにセンシティブで、特にヒーローのアーチャーはいわゆる「トーチャードヒーロー(傷ついたヒーロー)」というキャラどおりのとても気の毒な人。周囲のダメ大人の犠牲になった子供なのですよね。それがまたド頭からかわいそうで……。周囲にちゃんとした大人がいないとか、そのため無視される子供とか、そういうのに実は私、とても弱い。これだけでも充分つらい。引き取ってくれた元軍人の叔父さんはいい人だったけど、おそらく彼も過去に(多分任務で)ひどく傷つき、壊れていたと思われる。
 さらにヒロインのブリーも目の前で父を強盗に殺され、自分もレイプ寸前の被害を受けた、という悲惨な過去の持ち主。彼らがちょっとでも「傷つきそう」と思ってしまうと、先を読むのが怖くてね(´・ω・`)。
 過去の事件によって声を失ったアーチャーは、一人で孤独に生きてきた。そこにブリーがやってきて愛し合うようになり、閉じこもっていた自分の殻から出ようとするんだけど──という物語です。
 思うに、人が再生する物語というのは、けっこう限界ギリギリまでキャラを追い詰める傾向があります。そこからどう這い上がるか、というのが肝だからね。でも実は、読み終わるとそれほどのことは起こってないのですよ。だから、この感想読んだ人には私、「それほど心配せずに読んでも平気なんじゃないか」って言ってしまうと思う。じゃ、何がそんなに「怖かった」のかと考えると、「フラグの立て方がうまかった」のではないかと。
「これから何が起こるのか」というのを読者に期待させたり、恐れさせたりというのは小説の技法としてはごく普通ですけど、この作者はそれがうまかった。全編それだった、と言ってもいい。はっきり言って、アーチャーとブリーに起こる出来事は過去より悲惨なものはないんですけど、読んでるとそれを上回ることが起こりそうで胃が痛くなる(´;ω;`)……。
 反対にそういうフラグを一切立てずに突然殴りかかってくる小説もありますけど、この作品は「痛いよ、すごく痛いよ」と脅しながら、実際はチクッとしかしない、みたいな感じでした。
 どっちがいいではなく、そういう手法なだけで、それが今の私にはちょっとつらいと思えたってことです。繊細なキャラクターが主人公だと、こういうことは往々にしてあり得る。疲れている時は、鬼畜傲慢アホヒーローの話の方がよかったかな……。
 つらくて読み方が少しいいかげんにもなってしまったので、評価はこの程度にしてしまいましたが、いい小説だと頭ではわかっているのです。気になった方は迷わず手に取るとよいと思います。

 ところで、読書や映画などで、たまに同じような作品を立て続けに読んだり見たりすることがよくあるんですけど、この作品もそうでした。
 まず読み始めて、高速道路で両親を失って一人になった、しかも声を失ったという設定を知り、すぐに、『ベイビー・ドライバー』を思い出しました。この映画も自動車事故で両親を失い、耳の障害を負った男の子の話。
 そして読んでいる最中に『若おかみは小学生!』を見たのです。このアニメも高速道路での自動車事故で両親を失った小学生の女の子の話。
「世界三大自動車事故で孤児になった子供の話」としてこれからも伝えていきたい(嘘)。
 あっ、あと「トーチャードヒーロー」についてももう少し話がしたい……。この作品くらいからこの言葉が注目されたんでしたっけ? ロレイン・ヒースのヒーローもかなりトーチャードですが──という話でもしようかと思って調べたら、「トーチャー(torture)」の意味って「拷問」じゃないですか(´Д`;)。「拷問」並の傷を持つヒーローってことですか……? アレとかアレくらいにならないとトーチャードヒーローって言えない? いや、アーチャーは別に拷問にはあっていませんけどね。
 拷問を受けても微塵も変わらなかったハーレの某クズヒーローも思い出すね……。
(★★★☆)
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theme : ブックレビュー
genre : 小説・文学

tag : コンテンポラリー 扶桑社ロマンス ★★★☆

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    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
    評価は★★★★★が満点、★★★が標準点クリア。
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