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2019 · 06 · 01 (Sat) 21:50

□『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』"Godzilla: King of the Monsters" 2019(5/31公開)
 ゴジラ出現から5年後。特別研究機関であるモナークは、巨大生物の存在を隠していたことで政府から解体を迫られていた。そんな中、中国雲南省のモナーク基地が襲われ、巨大生物の誘導音波を発する機械“オルカ”が奪われ、開発者のエマ・ラッセル博士と娘マディも誘拐されてしまう。芹沢猪四郎博士はラッセル博士の元夫で“オルカ”の共同開発者マークに協力を依頼するが、彼はゴジラを憎んでいた。(監督:マイケル・ドハティ 出演:カイル・チャンドラー、ヴェラ・ファーミガ、ミリー・ボビー・ブラウン、ブラッドリー・ウィットフォード、チャン・ツィイー、サリー・ホーキンス、渡辺謙、他)

 公開前に出回っていた「人間ドラマが少ない」という評判、あれはデマでした(´ω`;)。思ったよりもずっと多かった……。
 まあでも、これは見た人によって違うのは当たり前だし……多い少ないの問題ではなく、なんだろう……メリハリの問題かな、と思ったりします。あともちろん、「ゴジラ」の映画に何を求めるか、というのにもよる。
 お話はなんというか、かなりテンプレなものです。よくあるディザスタームービーみたいなやつ。ゴジラの戦いに巻き込まれ息子を失った家族の話が、いわゆる「人間ドラマ」の部分です。夫はゴジラを憎むあまりモナークを辞め、残った妻は夫のあとを継ぎ、“オルカ”の研究している。ところが妻が娘とともに環境テロリストに誘拐されてしまい、“オルカ”によってキングギドラが目覚めてしまう。それを迎撃するように現れるゴジラ。妻と娘を取り戻すため、父は憎きゴジラに関わることになる──というお話です。
 元開発者が組織から出ていったり追い出されたりしたのに、不測の事態で呼び戻されるとかもあるある。そして家族等大切な人を思うあまり、勝手に行動に出て事態を悪化させたり、あるいは結果的に突破口を得たり。他にも、マークがゴジラを憎む理由や、環境テロリストの理屈など、既視感が大いにあります。
 多分、こういうのが「人間ドラマが描けてない」という評価につながったのかな、と今は思う。ただ、テンプレであっても面白い映画はある。この作品ではあまり効果的ではなかったということです。あまりにもテンプレだし、こういう展開を「人間ドラマ」というにも無理がある。そういう点では、デマではなかったのかもしれない。
 しかし、せっかくゴジラとキングギドラとモスラとラドンまでいるのに、こういうありきたりな展開を選択したのですよね、制作陣は。私としてはそういう「選択」は好きではありませんでした。
 これも多大に人によると思います。
 物語を描く時、大切なことの一つに「何を削るか」というものがあります。すべてを描ききることは、すべての人を満足させるのと同じくらい無理なことです。だから、どんな物語でも取捨選択をしなければならない。どこを切ってどこを残すかに、作品や作者の個性が出てくるわけです。
『シン・ゴジラ』とかすごくわかりやすくて、あれはいわゆる「人間ドラマ」を一切削ったわけです。なんでそこを削ったか、と考えると──これは私の個人的な推測でしかないのですが、つまり、

「何に文句を言われたくないか」

 ということなんだと思うわけです。
 誤解しないでほしいのは、これは「うるさいことを言われたくないから」というのではなく、

「こういう文句だったら、言われても我慢できる」

 ということです。作る方だって削りたくなくても削らないといけない時もある。なら、入れたいところ、絶対に捨てたくないところ、観客にどうしても見てもらいたいところだけを残して、あとを潔く全部捨てる、という方に行った、ということなんだと思うのですよ。中途半端に残して出来が悪くなるくらいなら、絶対に文句が出るだろうけど、少なくとも作る側として納得できるもの、自信のあるものにしよう、という気持ちがあって、『シン・ゴジラ』はああいう作品になったのだろうと私は考えるのです。
 でも『シン・ゴジラ』って海外で受けなかったんですよね……。てことを考えると、ハリウッドはああいうテンプレなものであっても「人間ドラマ」を入れないわけにはいかなかったんでしょう。それもまた制作陣の苦渋の選択だったのかもしれない。
 長々いろいろ書いてきましたが、結局私の言いたいことは、

「怪獣をもっと見せろ(゚Д゚)ゴルァ!!」

 だけなんです。せっかくゴジラとキングギドラがタイマン張ってるのに、どうしてちっこい人間が足元で右往左往しているところを同時に描くの……orz 怪獣が戦っている時には怪獣に集中したいのに! 「人間ドラマ」を削って、もっとモスラの出番を多くしてほしかった。せめて怪獣パートと完全に分けてほしかったよ。

「お前らを見たくて来てるわけじゃないんだよ(゚Д゚)ゴルァ!!」

 と何度も思ってしまったのは否めません。ケン・ワタナベですら(´・ω・`)……。
 あと、どうしてもハリウッドの怪獣映画って、怪獣を擬人化、神格化する傾向にあるよね。わかりやすいからなんでしょうけど。日本人にとって怪獣というか「ゴジラ」は戦争や災害などを象徴しているので、基本的に扱いもゴジラのメンタリティもそういうふうに表現される(子供向けのはまた別)。神格化されたとしても、人の絶対的な味方ではない(平成ガメラなんかはこの距離感が絶妙だったなあ)。支配するなんて所詮無理、と思うけど、ハリウッド映画ではそれが「できる」と考える人が必ず出てくるのはなぜ?
 まあとにかく、割と「思ってたんと違う……」という映画でした。でも評判はけっこういいんですよね。そう言う人の気持ちもわかる。私とは「ゴジラ映画」に求めるものが違うんだよ、多分。
『キングコング:髑髏島の巨神』の方が出来はよかったな……。でも評価は、ゴジラとキングギドラとモスラとラドンにオマケだ!
(★★★☆)
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最終更新日 : 2019-06-02

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