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2019 · 07 · 29 (Mon) 15:45

◆『誇り高き微笑』スーザン・ブロックマン

◆『誇り高き微笑』スーザン・ブロックマン(ハーレクイン)
 ネイビーシールズは連邦情報委員会──フィンコムとの合同対テロ訓練中だったが、フィンコムの精鋭と謳われた四人のうち三人の男は使い物にならない。だが、あとの一人、女性のP・J・リチャーズは優秀だ。ハーヴァードもそれを認めないわけにはいかない。彼女ともっと近づきたい。しかしそのためには、仲間として認めなければ彼女が心をひらいてくれない。("Harvard's Education" by Suzanne Brockmann, 1998)
・〈危険を愛する男たち〉シリーズ第5作

 アフリカ系カップルのお話です。ハーレでは、いや、翻訳ロマンス小説の中でも珍しい。
 ネイビーシールズの訓練に互角でついていくヒロイン、P・Jは、子供の頃は親に恵まれず、なおかつアフリカ系、さらに小柄な女性であることでも苦労し、現在もマッチョな環境でいろいろなあてこすりを受けつつ、自分の実力を周囲に認めさせていく。
 シールズ隊員のヒーロー、ハーヴァードことダリル・ベッカーはあだ名のとおりハーヴァード大を主席で卒業している優秀な人なんだけど、このあだ名のセンスはアメリカ的に、21年後の今どうなんですか(´ω`;)。日本で言うなら、

「お前、東大卒なのか。じゃああだ名は『東大』だ!」

 と『太陽にほえろ!』的シチュエーションがつい浮かび、一瞬「昭和だわ」と思ってしまいました(個人の感想です)。
 このシリーズ、5作目にしてようやくシールズらしい実戦のシーンが後半にあるんだけど、ヒロインがそれに加わったから、やっと描けるわけですね。スーザン・ブロックマンは、そんなにたくさん読んでいないのですけど、人種やジェンダー、LGBTについての問題も作品に盛り込んでいる人であると認識しています。21年前でも、ヒロインのP・Jが「女性であること」「アフリカ系であること」で認められず、それを克服しようとする姿を描いています。
 ネイビーシールズは2015年に「男性」という入隊条件をはずしているとのこと。実際に入っているかはわからないんだけど。他は今もあまり変わっていないのかなあ。荒っぽい男たちの話だけどハーレだから、実際よりかなりソフトな描写になっているんだろうな。だとしたら、「今もあまり変わっていない」と感じるのは、「これくらいにソフトにはなってるよ」なのかもしれない。現状がよくわからないので、なんとも言えませんけどね。
 お話的には、ハーヴァードがなかなかのおぼっちゃんであったのが面白いところでもあり、モヤモヤイライラの元でもあった。P・Jが訴えることについてハーヴァード卒の頭でもなかなか納得してくれなかったり、アフリカ系に対する差別もほとんど接しなかったり、家族に恵まれていることなどの運の良さを彼女と話すことで認識したり。たった一回、アフリカ系であるだけを理由で警察に不当に扱われ、その恐怖に打ち勝つためにシールズに志願して、しかも入れるなんて、とにかく様々な点でかなりの幸運だよねー。まあ、だからロマンスのヒーローなんだけどさ(´・ω・`)。
 と、いろいろ背景も気になり、その点でも楽しめたと言えるのですが、ロマンス的な印象がその分薄くなってしまったかな。
(★★★☆)

最終更新日 : 2019-07-29

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