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□『アド・アストラ』

『アド・アストラ』"Ad Astra" 2019(9/20公開)
 近未来の地球。突如として電気嵐(サージ)が全世界を襲った。宇宙飛行士のロイは、極秘にアメリカ宇宙軍に呼び出され、サージの原因はロイの父が関係している、と告げられる。父は地球外生命体を探しに宇宙へ旅立ったが、海王星近辺で行方不明になった。ロイは父へメッセージを送るために、火星を目指す。(監督:ジェームズ・グレイ 出演:ブラッド・ピット、トミー・リー・ジョーンズ、リヴ・タイラー、ルース・ネッガ、ドナルド・サザーランド、他)



 なんとなく「面白そう」と家族が言いだしたので、行ってきました。
 いわゆるリアル系の宇宙映画かと思ったので、「怖いのかな〜(´ω`*)」と少しだけ期待。宇宙をリアルに描くと必然的に怖くなるものなので。
 見始めると、確かにそういう雰囲気はある。静かで内省的な物語という感じの冒頭です。ブラッド・ピット演じるロイは、子供の頃行方を絶った父と同じように、優秀な宇宙飛行士になっている。物静かなロイのたたずまいは、『ファースト・マン』のニール・アームストロング船長を彷彿させる。落ち着いていて、何が起こっても冷静に対処できるけれど、内面では人間関係をうまく築けないことに悩んでいた。
 とはいえ、予告や宣伝などで目にした(極力避けていたけど)ものといえば、「お父さんが地球外生命体を求めて宇宙で行方不明になる」ということと、「月面らしきところで攻撃を受ける(!?)」の二つ。いったいどんな謎があるのか、とけっこうワクワクしていたのですが──。
 結果的には、

「妻と幼い子を捨てた父親が、遠方でイカれてしまって迷惑をかけているから、引き取れと言われた息子の話」

 だけでした。遠方ってどこかというと、海王星なのです。映画では地球からの距離は43億余キロと出ていたので、「父をたずねて約11億里」というお話なのです。(でも海王星である必然性はない)
 父親(トミー・リー・ジョーンズ)はそこで地球外生命体の探索中に行方を絶っている。しかし、どうも生きているらしい。火星へ行ったブラピは、父親が一人で宇宙船に残っている本当の理由を知り、彼を連れ戻すため、海王星を目指す。
 物語としてはそれだけで、行くまでの間にいろいろあるけど、それ自体は伏線でもなんでもない。「普通に生きてれば、トラブルはそれなりにあるよね」という波風に過ぎない。だから、月面移動車に乗っている時に攻撃されても、それは地球外生命体とかではなく、月の土地所有権などを巡って国ごとのいざこざがある故に出てきた山賊みたいな略奪者だった、とか。宇宙を航行中救難信号を受け取り、その宇宙船を調べると謎の生命体に襲われるんだけど、それもまた地球外生命体ではなく、宇宙船で乗せられていた実験動物の猿が凶暴化しただけだったとか。無法地帯を渡り歩いてドラクエ的な「まものがあらわれた!」テイストで退治して経験値もらいました、みたいに話が進んでいく。
 しかし、ブラピの経験値のために人死にすぎだろ(´д`;)。「英雄」と称えられている父親の真実を知ったブラピは、自ら迎えに行くことを選択するのだが、結局それをゴリ押ししたせいで他の乗組員がみんな死んじゃって、一人で海王星へ行くはめになる。父親も、

「地球外生命体なんていないし、つらいから地球に帰りたい(´・ω・`)」

 と訴えた乗組員を、

「そんなことない! もういい、俺一人で探し続けるから(゚д゚)!」

 と全部殺しちゃった人ですし──かなりヤバい父子の話だよね。この父子の歩いたあとには屍の山が(´ω`;)。
 ブラピが、そんな父親の真の姿をちゃんと受け止めているかというと、とてもそうは思えない。自分との共通点を見つけて封印しているのか。アメリカ宇宙軍もすべて隠蔽するであろうし、父親と同じようなことをしたブラピも、サージ止めてくれたから不問に付しているようだし。結論としては、あんなにうじうじしていたくせに、突然「過去は忘れて前向きになれたよ、僕!」とブラピが言って終わり、というちょっとサイコホラーテイストがあるようなないような──そして、地球外生命体は最後まで出てこない。ブラピと地球外生命体が入れ替わったからこの結論、というのはある意味筋は通ってるけど、これもまたありきたりなラストだし、もちろんトミー・リー・ジョーンズがエイリアンでもない。最後の父親の駄々こねも、「なぜあそこで?」と思わざるを得ないし……お話に関係ない見せ場が多くて、見てて戸惑う。宇宙映画あるあるみたいなことを散りばめたり、宇宙猿を出したり、遠さを強調すればドラマになるってわけじゃないんだよ(゚Д゚)!
 うちではもっぱら、

「ニール・アームストロング役が演りたかったけどできなかったブラピが、自分で作った宇宙飛行士映画」(プロデューサーなんだよね)

 と言っています(私が)。
(★★☆)
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genre : 映画

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    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
    評価は★★★★★が満点、★★★が標準点クリア。
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