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▽『貸しボート十三号』横溝正史

▽『貸しボート十三号』横溝正史(角川e文庫)
 隅田川に放置された貸しボートの中から、男女の死体が発見された。金田一耕助と等々力警部はただちに現場へ向かう。二人とも首を半分ほど切られた凄惨な様子だったが、奇妙なことに男は服を着ておらず、女はレインコートまでしっかり着込んでいた。(表題作)
・〈金田一耕助〉シリーズ(短編集)




 NHK BSプレミアムで、池松壮亮が金田一耕助に扮するシリーズの第二弾『横溝正史短編集Ⅱ 金田一耕助 踊る!』が放送されたので、今回は間を開かずに見ようかしらと思い、原作も読みました。
 金田一耕助の長編はほぼ読んでいるのですが、短編はそんなに──なので、この『貸しボート十三号』と『華やかな野獣』をKindleで買いました。そして『華やかな野獣』と内容がダブっている『人面瘡』(すでに購入済み)も。短編集だし、どれも読みやすく、さくさくと三冊読了。
『貸しボート十三号』には「湖泥」、表題作、「堕ちたる天女」、この三つの短編が収録されています。
「湖泥」は、戦後まもない田舎の村での殺人事件を金田一耕助が解決する、というもの。友人である岡山県警の磯川警部を訪ねたら、というお話。
 なんかこう、いろいろ他の横溝作品を彷彿とさせる舞台設定とかシチュエーションですが、短編なのでスピード感がいや増す。人工湖のある村を舞台に、村内名家の対立から、引揚者の中でも境遇が違ったり、美しい女性を取り合ったり──短くてもタイトルどおりすごくドロドロしていて、後味悪いです。

「貸しボート十三号」は、男性の被害者が名門大学のボート部員、女性が彼が家庭教師していた家の奥さんとわかり、女性の夫が怪しいけど、でも──というお話。この短編集は、金田一耕助と磯川警部、そして等々力警部との名コンビぶりが読めるのね。
 この作品は青春ものみたいな雰囲気もあります。ボート部部員たちが友だちを思う気持ちが純粋。その分、「本当に悪い奴」のクズっぷりが際立つ。
 NHKのドラマ、ストーリーは原作どおりなんだけど、舞台は携帯電話のない頃──1980年代っぽい日本になっています(原作は1950年代)。が、電話や自動販売機、金田一耕助が飲んでるジュースとかが今のもので──なぜ? いや、別にいいんですけど、それより気になったのは、金田一の服装です。着物じゃないのはいいとしても、家族に言わせるとかなり「チンピラっぽい」(´ω`;)。サングラスまでかけてたりして。「私立探偵」という言葉に漂う胡散臭さ満載です。なんだろう……『探偵物語』の松田優作とか意識してる? 舞台の年代的に。でも工藤ちゃんはチンピラではないからなあ。
 とにかく「チンピラっぽい」という金田一耕助は初めてかもしれない。中尾彬が演ったATG映画『本陣殺人事件』は「ジーパンを履いた金田一耕助」と話題になりましたけど、あれはチンピラではなくどちらかというと「ヒッピー」であった。時代ですなあ。

「堕ちたる天女」は、石膏像に隠された女性の死体が発見され、犯人とおぼしき黄色いマフラー男の行方はようと知れず──というこれまたおどろおどろしい殺人事件の話です。愛憎劇ですね。
 ただこの作品は、内容よりも「同性愛病患者(レスビアン)」という言葉に象徴されるような時代背景に目が行ってしまいます。この当時は、こんなふうに言われていたわけです。きちんと「今日の人権意識に照らして不当・不適切と思われる語句や表現がありますが」と編集部からの注釈も入っています。
 こういうことはもちろん、他の作品でもそうだけど、女性の扱いはなかなかにひどい。これも時代なんですが、人によっては不快に感じる場合もあるでしょう。ただ、横溝正史の小説の登場人物って基本クズばかりだよね(´∀ `;)。犯人は犯罪者としては順当な狂いっぷりだけど、それだけじゃなく、犯人じゃない人もかなり狂ってる。まともな人はあんまりいない。いい人ほど殺されちゃう。面白いんだけどねえ。
 だからこそ、「貸しボート十三号」の大学生たちの真面目さが心に染みます……。
(★★★★)
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theme : ブックレビュー
genre : 小説・文学

tag : ロマンス以外 角川文庫 ★★★★ シリーズ

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