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▽『華やかな野獣』横溝正史

▽『華やかな野獣』横溝正史(角川e文庫)
 海辺にある臨海荘の女主人・高杉奈々子が主催する秘密のパーティで、奈々子自身が殺害された。無残に左の胸をえぐられて。なぜかパーティに潜入していた金田一耕助は、出席者を屋敷に留め置き、聞き込みを開始するが──。(表題作)
・〈金田一耕助〉シリーズ(短編集)




 NHK BSプレミアムのドラマ『横溝正史短編集Ⅱ 金田一耕助 踊る!』のために読んだ短編集です。「華やかな野獣」「暗闇の中の猫」「睡れる花嫁」の三作品収録。
「華やかな野獣」は、大金持ちの若き女主人が主催する秘密の乱交パーティで起こった殺人事件を金田一耕助が解決します。
 これがドラマの原作として選ばれたのは、「金田一耕助が洋服を着ていたから」なんじゃないか、と今思った。実は金田一、殺された女主人の奈々子からあることを依頼されてパーティにボーイとして潜入しているのですよ。だから、最初から最後まで派手なボーイの制服を着ています。
 ドラマでも金田一がその派手めな制服を着て、タイトルどおりになぜか踊る(´ω`;)。享楽的なパーティにやってきた人々は男女ともにすべて女性が演じています。警察の人間まで女性。男性は金田一役の池松壮亮だけです。
『貸しボート十三号』とはうってかわった作風で、ふざけているけど妙に淫靡。三十分でも濃密でした。
 ちなみに最終回の『犬神家の一族』はもっとすごかった。30分でわかる超高速『犬神家の一族』。原作どおりの佐清のマスクが素晴らしい(でかかったけど)。どうせならもう少し長くして、この派手派手テイストで舞台を見たいな、と思った。でもきっとこれは、30分だからこそのテンションなんだろうなあ。

「暗闇の中の猫」は──銀行強盗が逃げ込んだ改装中のキャバレーで仲間割れを起こし、一人で死に、一人が瀕死の状態で発見される。瀕死の男は頭部を撃たれたため記憶喪失になっており、盗まれた金は見つからない。その一年後、キャバレーは開店したが、そこへ再び、助かった銀行強盗の片割れが現れ、殺人事件が起こる──というお話です。ここでも金田一耕助は変装してキャバレーに潜入というか、嗅ぎ回っています。
 この作品は、金田一が終戦後東京に腰を落ち着けてから初めて取り扱った事件であり、等々力警部と初めて出会った事件でもあります(諸説あり)。このあとに『悪魔が来りて笛を吹く』が起こるわけですね。

「睡れる花嫁」は──ある画家が妻の死後も遺体を生きているかのように慈しんでいるのが発覚した事件から数年、再び同じような事件が起こる。病院から遺体が盗まれ、その犯人が出所した画家なのではないか、と疑われるが、というお話。
 これも横溝正史らしい淫靡で変態性の高い愛憎を扱っています。けど、根底は単純な欲望が動機だったりする……。そこがいやな気分を増幅させます。
 ところで、この作品に出てくる「銀座のキャバレー・ランタン」と「暗闇の中の猫」の「東銀座のキャバレー・ランターン」は一瞬同じところのようにも思えるんですが……どうなんですか(´ω`;)? ただ同じだからといって何か物語に影響があるわけではないのですが。単なる偶然?
 それを言うなら、この数日で読んだ三つの短編集の「由紀子」率と「義眼」率の高さも単なる偶然と思いながらも、驚く。「由紀子」はきっと、横溝氏が好きな名前に違いない。「義眼」は、終戦直後で戦争に行っていた人、空襲にあった人などにそういう障害を負った人が多かったのだろう。でも、これもまた扱いがひどくてね。別に好んでそうなったわけでもないのに、「だまされた」とか言って責めるってなんなのよ(´-ω-`)。そういう人がたくさんいたにも関わらず、なんだろうし。今でもそういう雰囲気、残ってるよね。日本人の気質は、なかなか変わらないのかも、とちょっと暗くなりました……。
(★★★☆)
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theme : ブックレビュー
genre : 小説・文学

tag : ロマンス以外 角川文庫 ★★★☆ シリーズ

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    Author:三原 白
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    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
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