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▽『人面瘡』横溝正史

▽『人面瘡』横溝正史(角川e文庫)
 磯川警部と保養に訪れた旅館で、女中・松代の自殺未遂に出くわした金田一耕助。松代は「妹を殺してしまった」という遺書を残していた。果たしてそのとおり、妹・由紀子の死体が淵で発見される。(表題作)
・〈金田一耕助〉シリーズ(短編集)




 この短編集の作品はドラマにはなっていないのですが、収録されている「睡れる花嫁」「湖泥」が『貸しボート十三号』『華やかな野獣』の収録作とダブっているので、どうせなら読んでしまえ、と思って読破しました。
「睡れる花嫁」は『華やかな野獣』、「湖泥」は『貸しボート十三号』の感想を参照してください。
 この短編集は他に「蜃気楼島の情熱」「蝙蝠と蛞蝓」「人面瘡」が収録されています。作風もバラエティにとんでいて、読み応えあります。

「蜃気楼島の情熱」は、パトロン・久保銀造の友人である志賀泰三の屋敷がある島で起こった殺人事件を金田一耕助が解決する物語。これはなかなかひどい話です。志賀さんの奥さんが殺されてしまうんだけど、もうなんか……犯人、ゲスいとしか言いようがない。志賀さん、なんでこんなひどい目にばかりあうのか(´・ω・`)。
 実は彼、最初の奥さんも殺されている。アメリカに住んでいた頃で、一度は志賀さんが犯人として捕まるんだけど、真犯人が出頭して潔白が証明される。そして日本に帰国し、商売も成功して、新しい奥さんをもらって子供ももうすぐ生まれる、という矢先の事件。
 最初読んだ時に一番びっくりしたのは、事件が解決したあと、志賀さんが最初の奥さんを殺した男(すでに刑期は終えている)をともなって、アメリカに戻るところ。「よくそんなことできるな! 度量大きすぎない(´д`;)!?」と思ったが、読み直してみると、もう信じられる人がその人しかいないのだろう、という雰囲気が表れていて──一周回って別の意味の信頼というか、もうあれ以上の罪を犯すことはないだろう、という妙な信用というか、結束みたいなものができてしまったんだろうなあ。

「蝙蝠と蛞蝓」は、苦学生が現実逃避に非道な殺人を扱った小説を書いていたら、現実の方が残酷だった、というお話。なんか近所に気に食わない男と女がいるから、女は殺され、無実の男は罪を着せられて哀れに死んでいく──という腹いせ未完小説をまんまと利用されて、自分が罪を着せられてしまった。えっ、どうしよう、どうしたらいいの(´;ω;`)、と困っていたら、蝙蝠と呼んでいた気に食わない男・金田一耕助が助けてくれた、という──ちょっとユーモア小説のような一編。短いながらも印象的です。

「人面瘡」も、ラストは「蜃気楼島の情熱」に勝るとも劣らない衝撃が(´ω`;)。まあ、理屈はわかるんですけどね……。松代さんがいいならいいんですけど……戦争を切り抜けた人からすれば、大した修羅場ではないのかもしれない、と思ったり。
 人面瘡に関しては今でもたまに話題になる「バニシング・ツイン」に着地するのですが、解釈自体はとても面白くてすごく効果的でした。
(★★★★)
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theme : ブックレビュー
genre : 小説・文学

tag : ロマンス以外 角川文庫 ★★★★ シリーズ

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    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
    評価は★★★★★が満点、★★★が標準点クリア。
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