2020 · 02 · 21 (Fri) 14:38 ✎
◆『かりそめの妻』ロバータ・レイ(ハーレクイン文庫)
エミリーは友人ジーナから奇妙な依頼を受ける。ジーナの夫の会社の後継者とされているルークの仮の妻になってほしい、と。期限は2年間、もちろん莫大な報酬つきだ。エミリーはある理由で金を必要としていた。エミリーは依頼を受け、ルークと結婚するが、彼を次第に愛し始めてしまう。("Temporary Wife" by Roberta Leigh, 1975)

エミリーは友人ジーナから奇妙な依頼を受ける。ジーナの夫の会社の後継者とされているルークの仮の妻になってほしい、と。期限は2年間、もちろん莫大な報酬つきだ。エミリーはある理由で金を必要としていた。エミリーは依頼を受け、ルークと結婚するが、彼を次第に愛し始めてしまう。("Temporary Wife" by Roberta Leigh, 1975)
おすすめされた本です。読むまで時間かかってしまいましたが、チャコさん、ありがとうございました!
いやあ、おすすめされたとおりにひどい、いや、実にゲスい話でした!(すみません。でもコメントされた記事は「三大クズヒーロー&拍手御礼」なんですよ(´ω`;))
古いのですよね、1975年の作品。昔のメロドラマみたいな話です。
ヒロインのエミリーは寄宿学校の先輩であるジーナから変な依頼をされるわけですが、実はジーナとルークは不倫関係なんですよね。そういう関係になった段階でルークはジーナと一緒になろうとするんだけど、ジーナは富豪の妻の座を捨てて貧乏暮らしなんかまっぴらなわけです。夫チャールズは老人で心臓も弱いので先は短いと踏み、せっせとルークの出世を後押しし、夫が死んだあと彼と再婚しようとしている。しかしチャールズの甥ロジャーに関係を知られて、「おじさんに言うから」と言われてしまう。そのため、エミリーを「当座の妻(原題)」に仕立てよう、とジーナが言い出すわけです。「二人が切れたという証拠を見せろ」と言ったロジャーもこれで黙るだろう、ということで。
エミリーは、「結婚したくないけど周りがうるさいから」みたいなルーク(とジーナ)の言い訳を眉唾で聞いているのですが、結婚した夜に簡単にバレてしまう。まさか不倫の片棒を担がされたとは思わなかったエミリーは当然怒りますが、お金をもらってしまって、恩人である従兄にもう渡してしまったので──しかもそのお金って横領の補填のためなんですよ(´ω`;)。なぜ「病気の手術代」とかにしない……。
泥舟にいつの間にか片足突っ込んでしまったエミリーは、そのまま仮の妻を演じ続けるのですが、ルークを好きになっちゃって──というお話です。
とにかくエミリー周囲の人間がみんなゲスく、かといってエミリーも従兄を潔癖に突き放せるほど厳しくもないから、それをジーナとルークに指摘されると真面目だから「ぐぬぬ」となるしかないという……。ゲスくて小賢しいクズは、攻撃材料を決して見逃さないよな。有利になるなら、自分のことは棚に上げる。逆ギレしてうやむやにする。
最後は、チャールズが思ったよりも早く亡くなってしまい、ジーナのゲスい本性にようやく気づいたルークがエミリーと気持ちを確かめ合う、というところに落ち着きますが、ルークのゲスさを払拭できる要素はほぼないです(´ω`;)。一応反省はしているようなこと書いてありますが、そこに説得力は一ミリもない。「過去は過去。未来の俺を見てくれ!」みたいに、今までのことは見ないふり。しかもエミリーは「愛してる」って言われただけであっさり許してしまう。「愛」より「ちょろさ」が強調されてる!
ジーナは最後までゲスいですが、それに対してルークが抱く嫌悪感を描けば説得力が出ると思ったら大間違いだ(゚Д゚)ゴルァ!! 「俺は同類じゃない」とか思ったとしても、傍から見れば同類ですから! 自責感がないんだよね、ロマンスのヒーローって。Σ(゚д゚)ハッ! そうか、それが欠けてるんだ。自責感とか罪悪感とか。羞恥心もない。実に図々しい。
犯罪を犯したわけではない(「だからいいだろ」って開き直りそう)が、もっとエミリーを利用したことを後悔して、「もう信頼してくれないかもしれない」という不安を抱いてほしいんですよね。だって、それが普通の人──ちゃんとした人ではないの? この思考は、サイコパスの思考にほぼ一致すると思うんですが……。
まあ、昔からサイコパスは魅力的だというのは通説としてある。その「魅力」部分のみをヒーローにあてはめ、なおかつ愛の力で改心させる、というのが、古いロマンスの奇跡の定番だったんだな……。けど、サイコパスを改心させるのは至難の業だし、ちゃんとしようと悩むサイコパスの人はこういう人じゃないと思う……。
やっぱり「ヒーローはまともじゃない」な……。
ということで、めでたく(?)ルークはクズヒーロー13人目の仲間入りとなりましたー、パチパチパチ!
(★★)
いやあ、おすすめされたとおりにひどい、いや、実にゲスい話でした!(すみません。でもコメントされた記事は「三大クズヒーロー&拍手御礼」なんですよ(´ω`;))
古いのですよね、1975年の作品。昔のメロドラマみたいな話です。
ヒロインのエミリーは寄宿学校の先輩であるジーナから変な依頼をされるわけですが、実はジーナとルークは不倫関係なんですよね。そういう関係になった段階でルークはジーナと一緒になろうとするんだけど、ジーナは富豪の妻の座を捨てて貧乏暮らしなんかまっぴらなわけです。夫チャールズは老人で心臓も弱いので先は短いと踏み、せっせとルークの出世を後押しし、夫が死んだあと彼と再婚しようとしている。しかしチャールズの甥ロジャーに関係を知られて、「おじさんに言うから」と言われてしまう。そのため、エミリーを「当座の妻(原題)」に仕立てよう、とジーナが言い出すわけです。「二人が切れたという証拠を見せろ」と言ったロジャーもこれで黙るだろう、ということで。
エミリーは、「結婚したくないけど周りがうるさいから」みたいなルーク(とジーナ)の言い訳を眉唾で聞いているのですが、結婚した夜に簡単にバレてしまう。まさか不倫の片棒を担がされたとは思わなかったエミリーは当然怒りますが、お金をもらってしまって、恩人である従兄にもう渡してしまったので──しかもそのお金って横領の補填のためなんですよ(´ω`;)。なぜ「病気の手術代」とかにしない……。
泥舟にいつの間にか片足突っ込んでしまったエミリーは、そのまま仮の妻を演じ続けるのですが、ルークを好きになっちゃって──というお話です。
とにかくエミリー周囲の人間がみんなゲスく、かといってエミリーも従兄を潔癖に突き放せるほど厳しくもないから、それをジーナとルークに指摘されると真面目だから「ぐぬぬ」となるしかないという……。ゲスくて小賢しいクズは、攻撃材料を決して見逃さないよな。有利になるなら、自分のことは棚に上げる。逆ギレしてうやむやにする。
最後は、チャールズが思ったよりも早く亡くなってしまい、ジーナのゲスい本性にようやく気づいたルークがエミリーと気持ちを確かめ合う、というところに落ち着きますが、ルークのゲスさを払拭できる要素はほぼないです(´ω`;)。一応反省はしているようなこと書いてありますが、そこに説得力は一ミリもない。「過去は過去。未来の俺を見てくれ!」みたいに、今までのことは見ないふり。しかもエミリーは「愛してる」って言われただけであっさり許してしまう。「愛」より「ちょろさ」が強調されてる!
ジーナは最後までゲスいですが、それに対してルークが抱く嫌悪感を描けば説得力が出ると思ったら大間違いだ(゚Д゚)ゴルァ!! 「俺は同類じゃない」とか思ったとしても、傍から見れば同類ですから! 自責感がないんだよね、ロマンスのヒーローって。Σ(゚д゚)ハッ! そうか、それが欠けてるんだ。自責感とか罪悪感とか。羞恥心もない。実に図々しい。
犯罪を犯したわけではない(「だからいいだろ」って開き直りそう)が、もっとエミリーを利用したことを後悔して、「もう信頼してくれないかもしれない」という不安を抱いてほしいんですよね。だって、それが普通の人──ちゃんとした人ではないの? この思考は、サイコパスの思考にほぼ一致すると思うんですが……。
まあ、昔からサイコパスは魅力的だというのは通説としてある。その「魅力」部分のみをヒーローにあてはめ、なおかつ愛の力で改心させる、というのが、古いロマンスの奇跡の定番だったんだな……。けど、サイコパスを改心させるのは至難の業だし、ちゃんとしようと悩むサイコパスの人はこういう人じゃないと思う……。
やっぱり「ヒーローはまともじゃない」な……。
ということで、めでたく(?)ルークはクズヒーロー13人目の仲間入りとなりましたー、パチパチパチ!
(★★)
最終更新日 : 2020-02-21