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□『ある女流作家の罪と罰』

『ある女流作家の罪と罰』"Can You Ever Forgive Me?" 2018(WOWOW)
 1980年代まで伝記作家として名を馳せたリーだったが、現在は50代に入り、一人暮らしで友人もおらず、家族は病弱な猫だけ。家賃も滞納するほど追い詰められたリーは、大切にしていたキャサリン・ヘプバーンからの手紙を売るしかなくなるが、それが高額で売れたことから、有名人の手紙を偽造して売ることを思い立つ。(監督:マリエル・ヘラー 出演:メリッサ・マッカーシー、リチャード・E・グラント、ドリー・ウェルズ、ジェーン・カーティン、他)




 ううう、いい映画だったけど、ダメージがでかい……。
 私とこのリーとどこが違うのだろう、と思ったりするのです。一歩ズレれば、私が彼女になった可能性だってある。
 作家として落ち目になった女性がひょんなことから文書偽造の犯罪に手を染める物語です。図書館で見つけた本物の古い手紙にちょこっと気の利いた文を付け加えただけで、「なんてすてきな手紙なの!」と金額が跳ね上がるのを見て、「なんだ、最初から面白いものを自分で書けばいいじゃん(゚Д゚)!」と目覚めてしまうリー。偽造した手紙を自ら「作品」と呼び、それが認められて高額取引されることによって自己承認欲求を満たしていく。
 自己顕示欲やプライドが高い人にも関わらず、伝記作家としてはあまり表に出ることを嫌い、おそらくプロモーションなどにも協力的でなかったと思われる。相反する態度のように見えるけど、わかる、わかるな、あたし。多分、「何もしなくたって売れる」って思ってたんじゃないかな。そういう宣伝とか読者に媚びるようなことは、やりたくなかったんだと思う。苦手とかめんどくさいとかもあったろうけど、「そんなことしなくても大丈夫」と本気で思ってたんだろうし、それ以外考えるのも怖かったんだと思う。
 すごくたくさん売れている作家の気持ちはよくわかんないけど(そういえば映画の中でトム・クランシーが「スランプになる作家なんて信じられないよ、ハッハッハッ」とか言ってて、私も(・д・)チッと思いましたよ)、カツカツの作家は常に不安ですよ(´・ω・`)。あまり不安すぎるとメンタルやられるし、だからといって現実から目をそらしすぎるとリーみたいになるし。そのバランスが崩れて心身どちらか、あるいはともにダメージを食らう人も少なくない。
 その時、何が必要なのか──お金以外で。お金しか信じられなくて、リーはこうなったわけだしね。猫の薬のためでもあったもんで、私はさらに自分を重ねてしまった。けど……そうなんだよなー。お金があっても猫の病気が治るわけではないし、猫も自分も年寄りであることには変わりない。自分がやっていることは犯罪行為だし、本当に自分が認められたわけではない。お金は頼りになるやつだけど、何があったって不安は不安なんだよ。
 月並みな言い方をすれば、家族か友だちみたいな支えてくれる人ってことになるんだろうけど、そんなねー、50代まで人間関係うまくいかなかった人にそんな都合のいい展開なんてないし、実際映画でもそうだったし。手紙を売るために組んでいた友だちのジャックとも、逮捕を機に疎遠になるしかないし、最後に会った時の彼は、明らかに病気で先が長くない感じであったし……。
 でもなぜか、そんなに悲惨な雰囲気がない映画なんだよね。どうしてなんだろう。ダメージも悲しいところ(主に猫関係)もあるんだけど──やはりラスト、リーが原稿を書いていたからかもしれない。あれがいいかどうかなんて誰にもわからないんだけど(映画の原作の原稿書いてるってわかっているいない関係なく)、ほんのちょっとだけ画面が明るく、家の中も少し片づいている。ああ、この人はほんとに「書くこと」が好きなんだな、と一瞬でわかるシーンであった。スティーヴン・キング『ミザリー』の小説版ラストにも通ずる希望がある。
 まあなんだ……結局リーはある意味オタクなんだと思うわけです。実際、オタクだったから、ああいう犯罪を犯せたわけだし。オタクは孤独に強い。推しが在れば生きていけるから。文章書く人も、孤独に強い。誰にも理解されなくても、自分の物語の中にある喜びのために書く人が多いから。
 うーん、トム・クランシーの言葉はある意味合っているのかもな、と今思ったよ(´ω`;)。プロはスランプの時でも書くしかないからね。けど、体調悪い時は休まないとダメだよ!

 メリッサ・マッカーシー、とてもよかったです……。コメディもいいけど、シリアスでリアルな演技も素晴らしい。
 ところで全然関係ないけど、見ててこんな記事を思い出しました。

#どうぶつの森 しずえさんがなぜか海外で飲んだくれキャラとして描かれる理由がこんな所に!

 リーがごくごくとスコッチウイスキーのロックを飲んでいるのを見て、「なるほどなあ〜」と思いました。しずえさんの脇に置いてあるのと同じようなグラスで飲んでたし。麦茶なら身体にもいいのにねえ(´・ω・`)。
(★★★★)
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    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
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