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□『東京オリンピック』

□『東京オリンピック』1965(WOWOW)
 1964年10月10日。東京にて第18回オリンピック競技大会が開幕した。この映画は、アジア初となった東京オリンピックの15日間の記録である。(総監督:市川崑)




 あらすじというものはないのであった。記録映画ですので。
 とはいえ、膨大な記録フィルムで構成しているのだから、そこに制作側の意図が入らないわけはない。実際、当時は「芸術か記録か」と大論争が巻き起こったらしいです。
 私は、そんなに見てはいない方だけど、ドキュメンタリー映画は好きです。純粋に映画として面白いものもあるけど、基本的に元になっている事柄に興味がある方が多い。元の事柄に力があって、なおかつ撮っている人に熱意があると、けっこうなんでも凌駕しちゃう気がするので、映画としての評価は迷うところではある。
 とはいえこの『東京オリンピック』は、今まで「名作」と言われながら見ていなかったわけで──動機は今年の東京オリンピックにほかならない。今年になってからWOWOWで何度かやっていて、家族と、
「オリンピックの前に見ておくか」
 と録画予約したら、なんとそのあとに延期になったという……。結局見たのは非常事態宣言が出てからだったので、割と貴重な鑑賞体験でもある、と思ったり思わなかったり。
 そんなこんなで、映画として純粋に見ることってできないな、と感じながらの鑑賞でありました。
 オリンピック時には生まれていなかった(終わってすぐ生まれた)私としては、沿道で見たとかテレビで見たとかそういう経験はないですが、選手たちの活躍とともに背景の街並みがもっとも気になったのでした。練習場の後ろにおもちゃのように建ち並ぶ日本家屋や、沿道を埋め尽くす膨大な人々、マラソン選手たちが駆けていく空が抜ける新宿などなど──今の日本と違うし、田舎に住む私が知っているはずもないのに、なんだかなつかしい。そういえば最初のシーンは、旧国立競技場の場所にあった建物を壊すところなんだって。関係ないけど、新しい建物が建つと、あっという間に前の建物のことを忘れてしまうのはなぜなんでしょうか。毎日通っていた道のものでも。
 印象に残る選手は、やはり円谷幸吉選手なのですが、それってあとからの印象があるからだよね……。この映画の中だけで、とはなかなかなりにくい。選手たちの食堂での食事が超おいしそうとか、そういうのは私の個人的な趣味なのでどうでもいいことですよね(´・ω・`)。
 見ておくべき映画だとは思うのですが、私個人としては邪念ばかりが混じる作品になってしまった。今年の東京オリンピックがなくなった直後に見る、というのはね──やはり複雑な気分になりますよ。あと忙しすぎる&先行き不安な時に見るのもね……もうちょっとゆったり映画が見られるのはいつのことやら。映画館に行きたいなあ。
(★★★☆)
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    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
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