2020 · 06 · 03 (Wed) 13:59 ✎
◆『十年目の初恋』ルーシー・ゴードン(ハーレクイン)
結婚して十年目のフェイとガースは、二年前から別居している。仕事ばかりで家庭を顧みないガースに失望し、別居後に恋人もできたフェイは離婚を望んでいたが、ガースはなかなか承知しない。それどころか、息子と娘と暮らすフェイの家へ勝手に押しかけてきた。ガースのことを信じられないフェイだが、子供たち、特に娘は大喜びで──。("The Diamond Dad" by Lucy Gordon, 1998)

結婚して十年目のフェイとガースは、二年前から別居している。仕事ばかりで家庭を顧みないガースに失望し、別居後に恋人もできたフェイは離婚を望んでいたが、ガースはなかなか承知しない。それどころか、息子と娘と暮らすフェイの家へ勝手に押しかけてきた。ガースのことを信じられないフェイだが、子供たち、特に娘は大喜びで──。("The Diamond Dad" by Lucy Gordon, 1998)
なんだか久しぶりの更新になってしまいました。コロナ禍の中、読書どころか映画鑑賞の気力すらも萎え気味になりまして。
休業要請だなんだと言われながらも、私の仕事はまったく変わりがなかったのです。医療でも流通でも小売関係でもないので、そういう方々のストレスとは比べ物にならないんですけど、こういう先行き不安な中で働くのはやはり負担がかかる……。
そんな中で読んだものですが、序盤がなんだかつらくてですね(´・ω・`)。ロマンスを「つらい」と思って読むのってなんだかなあ、なんですが、理由はわかっている。ヒーローのガースがクズな奴で、現代のクズの代表を思い浮かべてしまったからです。
若い頃は優しくてがんばり屋だったのに、仕事で成功するにつれて人間的にクズになる、というのはよく聞くことですよね。やり方に手段を選ばなくなり、まともな人から愛想を尽かされ、いつしか周りにいるのはイエスマンか利用価値のある者だけ、というのがヒロイン・フェイの夫ガースです。
それだけだったらまだよかったんだけど(まあ、ハーレヒーローとしてよく在る)、息子と娘をあからさまに差別している、というのがね(´-ω-`)……しかも、無視している娘が父を慕っているといういじらしい設定で……。けど、育児なんてしていないから、息子は特になついていない、という──なんとも微妙にリアルなクズ夫なんですよ(´ω`;)。
そして、勝手に家に帰ってきて家族ごっこをし始めて、子供たちの機嫌をとったりするんだけど、それにも実は裏がある。彼の仕事は不動産業で、新規のファミリー向け住宅の宣伝のため、とりあえず別居は解消しとこうという算段での行動だったのです。その新規事業を発表するまでは離婚は待ってくれ、という話になってくる。
この妻はともかく、子供までシレッと利用しようとする性格があまりにもクズで──折しも、現在全方向で対応が逆ギレ&ヤケクソ気味なドナルド・トランプをつい思い浮かべてしまい、
「そんな奴は、ヒーローじゃない(゚Д゚)!」
と叫びそうになってしまいました。こんなふうに考え始めると、ハーレの、特に古いロマンスのヒーローはみんなそんなふうに読めてしまうよね。ヤバい傾向だな……。
それはさておき、元々はそんな悪い奴ではなかったガースは、「契約」の父親として子供との約束をちゃんと守って生活しているうちに、次第に以前のように自分ばかりを優先することに罪悪感を覚えるようになってくる。昔は愛する妻のことを考えて「立派な夫にならなくちゃ」とがんばっていたのが、次第に妻の気持ちを無視して、自分の考えた「理想の夫」像にのめりこんでいたと気づくんですよね。
最後はロマンスらしく持ち直して、泣けるところもあるんだけど、ちと忙しない展開なのが惜しかった。ロマンス読んで、「現実はこんなにうまくいくかしら?」と思いたくないよねえ。
[6/5追記]
書き忘れた。ヒロイン・フェイに男の見る目がないということを(´・ω・`)。
当て馬である新しい恋人が、後半に行くに従って化けの皮がはがれる。過去がわかっているガースの方がまだマシと思えるくらい。多分彼女は、自分に自信がないから、自信のある(ありそうに見える)男にひっかかってしまうんだろうなあ……。
(★★★)
休業要請だなんだと言われながらも、私の仕事はまったく変わりがなかったのです。医療でも流通でも小売関係でもないので、そういう方々のストレスとは比べ物にならないんですけど、こういう先行き不安な中で働くのはやはり負担がかかる……。
そんな中で読んだものですが、序盤がなんだかつらくてですね(´・ω・`)。ロマンスを「つらい」と思って読むのってなんだかなあ、なんですが、理由はわかっている。ヒーローのガースがクズな奴で、現代のクズの代表を思い浮かべてしまったからです。
若い頃は優しくてがんばり屋だったのに、仕事で成功するにつれて人間的にクズになる、というのはよく聞くことですよね。やり方に手段を選ばなくなり、まともな人から愛想を尽かされ、いつしか周りにいるのはイエスマンか利用価値のある者だけ、というのがヒロイン・フェイの夫ガースです。
それだけだったらまだよかったんだけど(まあ、ハーレヒーローとしてよく在る)、息子と娘をあからさまに差別している、というのがね(´-ω-`)……しかも、無視している娘が父を慕っているといういじらしい設定で……。けど、育児なんてしていないから、息子は特になついていない、という──なんとも微妙にリアルなクズ夫なんですよ(´ω`;)。
そして、勝手に家に帰ってきて家族ごっこをし始めて、子供たちの機嫌をとったりするんだけど、それにも実は裏がある。彼の仕事は不動産業で、新規のファミリー向け住宅の宣伝のため、とりあえず別居は解消しとこうという算段での行動だったのです。その新規事業を発表するまでは離婚は待ってくれ、という話になってくる。
この妻はともかく、子供までシレッと利用しようとする性格があまりにもクズで──折しも、現在全方向で対応が逆ギレ&ヤケクソ気味なドナルド・トランプをつい思い浮かべてしまい、
「そんな奴は、ヒーローじゃない(゚Д゚)!」
と叫びそうになってしまいました。こんなふうに考え始めると、ハーレの、特に古いロマンスのヒーローはみんなそんなふうに読めてしまうよね。ヤバい傾向だな……。
それはさておき、元々はそんな悪い奴ではなかったガースは、「契約」の父親として子供との約束をちゃんと守って生活しているうちに、次第に以前のように自分ばかりを優先することに罪悪感を覚えるようになってくる。昔は愛する妻のことを考えて「立派な夫にならなくちゃ」とがんばっていたのが、次第に妻の気持ちを無視して、自分の考えた「理想の夫」像にのめりこんでいたと気づくんですよね。
最後はロマンスらしく持ち直して、泣けるところもあるんだけど、ちと忙しない展開なのが惜しかった。ロマンス読んで、「現実はこんなにうまくいくかしら?」と思いたくないよねえ。
[6/5追記]
書き忘れた。ヒロイン・フェイに男の見る目がないということを(´・ω・`)。
当て馬である新しい恋人が、後半に行くに従って化けの皮がはがれる。過去がわかっているガースの方がまだマシと思えるくらい。多分彼女は、自分に自信がないから、自信のある(ありそうに見える)男にひっかかってしまうんだろうなあ……。
(★★★)
最終更新日 : 2020-06-05