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2020 · 09 · 19 (Sat) 15:51

□『TENET テネット』

『TENET テネット』"TENET" 2020(9/18公開)
 男は目覚めた時、自分が何者でもないことを知る。与えられた任務は「第三次世界大戦を阻止する」こと。敵は謎の銃弾を操ると教えられたが、それは時間を逆行する不可解な武器だった。(監督・脚本・製作:クリストファー・ノーラン 出演:ジョン・デヴィッド・ワシントン、ロバート・パティンソン、エリザベス・デビッキ、ディンプル・カパディア、マイケル・ケイン、ケネス・ブラナー、他)

 いやいや、あらすじをどこまで書けばいいのか──というより、どう書けばいいのかわからないよ(´Д`;)!
 複雑な話で、正直ついていくのがやっとだったんですが、とても面白かったです! 時間ものは大好物ですし。
 ただクリストファー・ノーランの「時間」に対するアプローチはなかなか個性的。こういうもので独自性を出すのはかなり困難だと思うけど、それをやってる。
 一番独特なところは、「時間が逆行するところ」。「いや、普通じゃない?」と思うかもしれないけど、文字通りの「逆行」であり、世界自体も反転(?)している。
(ここまで書いて、パンフレットを熟読。わかりやすく解説してあります)
 タイムスリップものではないのです。タイムスリップというのは、行きたい時間へピンポイントに移動しますが、この映画の場合、過去に戻るためには同じだけ時間を逆行しなければならない。そのためには「回転ドア」というものを通じて「逆行世界」へ行く必要があり、その世界では人や動物、自然現象が逆に動いている。その中を「順行(本来の時間の動き)」していくわけです。だから、高速道路を逆走するカーチェイスや、撃たれた銃弾が戻ったり、予測のつかない動きをする者との格闘などがあるのです。
 当初、予告や冒頭の数分(キエフのオペラハウスでのテロシーン)を見る限りでは、主人公(この人、実は名前がない)に時間を逆行させる能力があるんだとばかり思っていたのですが、いやはや、予想をはるかに超えていた。
「第三次世界大戦を止めろ」と言われた主人公は、逆行する銃弾の仲介人であるロシア人武器商人セイターの妻キャットと接触する。彼女を通じてセイターに恩を売った主人公は、ある取引を持ちかけるが、まんまとセイターに裏をかかれてしまう。
 セイターにとってはすべて「起こったこと」だから当たり前なんですけどね。だから主人公たちも回転ドアを駆使して、セイターが目論む「第三次世界大戦(これもまた単純な戦争ではない)」を阻止しようとする。
 これが複雑でないはずない。特にラストのシベリアでの戦闘シーンは、同じ画面に順行する人と逆行する人が入り乱れ、まったく把握しきれない。鑑賞一回ですべての情報をつかみきれる人はいないと思う。
 ただ一つだけ憶えておいてほしいのは、

「赤い紐のついたコイン」(神社でもらうような五円玉に赤い紐がついてるお守りみたいなやつ)

 のこと。とはいえ、「これ、絶対に憶えとけよ!」って感じで出てくるので、出てくればすぐにわかると思うのですが、これがラストで大きな感動を呼ぶのです。
 このラスト、私にとっては意外だった。こういう着地点に持ってくるのか、という驚きです。そこで真の主人公が誰なのかがわかる。私の大好きな某アニメ(ネタバレOKの人だけクリック)に似た雰囲気もあって、かなりエモいです。ていうか、本当ならこっちを主人公にするのが普通(なんの普通かはさておき)なんでしょうが、そうしなかったのは、やはりクリストファー・ノーランの物語に対する変態性が多大に出ていると感じました。あえて困難な方を選ぶという……Sなのかな(´ω`;)? いや、何度も言うけど、単なる変態だな。
 2回目は、もう一人の主人公視点で見ることにします。みんなあの人大好きになるでしょ、あんなラスト見たら(゚Д゚)! けど、大っぴらに言えないのがつらいねー。

 いろいろ情報量が多くて、感想もまとまらないです。
『メメント』を初めて見た時のことを思い出しました。あの時、見終わって、
「すごく面白いね!」
 と一緒に見ていた家族に話しかけたら、寝ていたという……。当時からマニアックさがにじみ出ていたけど、それを頑なに守りながら商業ベースに乗せてここまでの大作に仕上げるノーランの執念──やはり「変態」としか言えない。
 この映画は一応「スパイ映画」なんだそうです。パンフレット読んだら、ノーランがこんなこと言っていたよ。

「これまでに作られたスパイ映画と同じではつまらないし、何か新しい風を吹き込めない限り、スパイ映画には手を出したくないと思っていた」

 シリアスなスパイ映画のストーリーに限界が来ているとは彼も思っていたらしい。SFではあるけれど、一応物理学的にも正しくアプローチしているらしく、ただの荒唐無稽なストーリーにはなっていません。ていうか、そうならないように最大限の努力をしている。逆回転のアクションなんて、描き方によっては笑っちゃうかもしれないもんねー。
 最後に──逆行世界へ行った時には、マスク(酸素マスクだけど)をしなければ生きていけない、というのが、「一見似ているようでまったく違う世界」に今生きている私たちを彷彿させて、戦慄しました。偶然なんだろうけど。
(★★★★☆)
[Tag] * ★★★★☆

最終更新日 : 2020-09-27

Comments







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No Subject

こんにちは。とてもお久しぶりにコメントします。
久しぶりに訪問したら、サイトのデザインがすっかり変わっててビックリしました。

テネット、ご覧になったんですね~。
あのロブ様が出てるから見なきゃって思いながらコロナ禍だから(受験生がいるので慎重に過ごしています)家にこもっててまだ見ていません。
白様の記事を読んでますます見に行きたくなった~!!!!(笑)
2020-10-03-12:09

misaki URL [ 返信 ]

コメントありがとうございます!

>misaki 様
コメントありがとうございます!
ロブ様──というのは、ロバート・パティンソンのことでしょうか。やはりトワイライトつながり?
だったらこれは……いやもう、絶対にご覧になるとよろしいかとっ。もう絶対に絶対です!
とはいえ、受験生さんがいるのでは慎重にならざるをえないですよね……。でもロングランになりそうですし、機会があったらぜひに!
2020-10-05-13:07

三原 白 http://miharashiro.blog5.fc2.com/URL [ 返信 * 編集 ]

No Subject

パンフレット~!買えばよかった~(涙)。。。いつも買ってないから。。
帰りの車を運転しながらず~っと考えてたら大パニック(笑)。
もう一回見て確かめたいことばかり。。
とりあえず劇場に再度行ってパンフレットだけ買ってきます(^^)

それにしても本当に白様、レビューがいつも秀逸です!!!!
この白の部屋を読んでなかったらここまで自分の中で映画(特にロブ)に哀愁を感じなかったかも。
白の部屋のお蔭様で面白さが倍増したと思います。

2020-10-08-08:52

misaki URL [ 返信 ]

パンフもぜひ!

>misaki 様
おおっ、見に行かれたのですね!
パンフレット、ちゃんと時間逆行に関しての解説もあって読み応えあるんですよー。真四角でしまう場所に困りましたけど(´ω`;)。けど形も意図的なんですよね、きっと。
ネタバレを気にしないで好き勝手に書いているだけのをほめられると、なんともうれしいやら照れくさいやらですー。ありがとうございます!
2020-10-10-12:25

三原 白 http://miharashiro.blog5.fc2.com/URL [ 返信 * 編集 ]