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◆『誘惑のトレモロ』アイリス・ジョハンセン

◆『誘惑のトレモロ』アイリス・ジョハンセン(二見文庫)
 ジュネーブで『レ・ミゼラブル』の舞台に立つデイジーは、若き天才作曲家ジェイソンからブロードウェイで新作ミュージカルのヒロインを演じるよう頼まれるが、ある理由からそれを断る。だが彼はあきらめず、何とか彼女を説得しようとする。("An Unexpected Song" by Iris Johansen,1990)



 前半はとてもよかったんですが、後半が……。
 声だけでなく本人にもメロメロになったヒーローが、ずーっとヒロインを口説き続けていたのに、中盤いきなり彼女の元を去ってしまう。その理由というか、原因のキャラが出てくるのが遅すぎる気がする。それはヒーローの元妻なんだけど、彼女は反社会的人格障害という、いわゆる“サイコパス”──しかもかなり悪辣という設定(念のため言っておくと、反社会的人格障害だからと言って悪辣な人間になるということではありません)。彼の愛する人を巧妙に取り除いていくことを生き甲斐とする奴。
 それを「オチ」に近い形に持ってくるという構成は、時代をかなり反映してるなあ、と思いました。1990年といえば、映画『羊たちの沈黙』なんかが公開されて、「サイコパス」「人格障害」「プロファイリング」とか、そういう言葉が表に躍り出した時期なんだよね。だから、こういう形で扱うのがその当時は一番ショッキングだったんだろうと思う。
 でも、今はこんな構成にはできない。人格障害はいまだ一般的にきちんと知られているとは言えないけど、だからこそ中心にすべきは、今までヒーローが彼女に何をされたか、実際に何をされるか(特にヒロインに対して)、そしてそれに二人がどう対処するか、ということだろうね。
 ストーリーそのものは全然古くない。むしろ普遍的だから、かなり、かーなーり惜しい! と思いました。こんな構成にしたからこそ、最後もあっけなくなっちゃったんじゃないかな。まあ、こういう人を自滅に追い込むのは、ものすごく大変だとは思うけど(・ω・`)。
(★★☆)
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tag : コンテンポラリー 二見文庫 ★★☆

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    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
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