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●『じゃじゃ馬令嬢に美しい罪を』エマ・ホリー

●『じゃじゃ馬令嬢に美しい罪を』エマ・ホリー(ラズベリーブックス)
 公爵令嬢のメリーは、両親、特に母から知り合いの息子との結婚を迫られていた。メリーは結婚などせず、仕事を持って自立するつもりだったが、誰も耳を貸してくれない。そこに現れたのは、放蕩者と悪名高い画家のニック。「モデルになってほしい」という彼の誘いに、ヌードを描かせれば誰も自分とは結婚しなくなるはず、とメリーは思う。("Beyond Seduction" by Emma Holly,2002)



 HOTな作風で有名らしい作者だそうで──いや、実際にHOTだったけど、私としては量(^^;)の多さより、ヒーローがヒロインを最初に誘惑するあからさまな手口に、思わず「変態」と思ったりして(実はこの前に読んだ『誘惑のトレモロ』でも同じようにそう思ったんだけど)。私は変態好きですが、こういう普通の変態(?)というか、単なる男性ホルモンの暴走にはやはり引きます。顔がよければ何しても許されると思うなよ! って思ったり。
 でもまあ、これはささいなことに過ぎません。本当に気になったのは、そこじゃない。
 最初は引いたけど、ヒーローはなかなかよかったです。何だかかわいらしかった。お子ちゃまだったけど、成長していった感じで。ヒロインの行動も、普通だったらイラつきの元になりそうだけど、そもそもは彼女の母親のせいなので、ヒロイン自体には腹も立たず。
 全体的には切なさもありながらラブラブな感じで、本当だったらもう少し満足してもいいんじゃないかと思うんだけど、なんかひっかかる。いや、原因はやっぱり母親です。この母親だけが、妙にリアルで生々しい。単なる自分勝手な理由で娘に結婚を押しつける、というのではなく、そのあさはかな心理がいやな後味を残すんだよね。最後にようやく夫に自分のやらかしたことを告白するんだけど、夫はすべてではないけどある程度知ってたというオチ。それってある意味「まあ、いいや」って夫が思ってたってことでしょ? 似たもの夫婦とも言えるけど、自分自身の心配ごとじゃなければ「まあ、いいや」ですまそうとする気マンマンな人って……そして、そんな母親に対して、ヒロインはラスト近く「気の毒」と思う。さらに、母親はそれを全然気にしているふうではなく……その寒々しさ、空しさったら、ロマンスのラストに似合わないこと……orz
 まあ、すべておとぎ話にしろ、と言うわけじゃないけど、何かちょっとうまいバチを与えるくらいはしてほしかったかな。表面上だけでも納得できるような。母親が自分の保身のためだけに、娘に「自分はブサイク」(本当は違う)と思わせようとするなんてさあ。それだけでも、ねえ。
(★★★)
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tag : ヒストリカル ラズベリーブックス ★★★

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    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
    評価は★★★★★が満点、★★★が標準点クリア。
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