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2021 · 10 · 10 (Sun) 13:56

□『病院坂の首縊りの家』

□『病院坂の首縊りの家』1979(Netflix)
 昭和26年。奈良県吉野市の「先生」の元に訪れた金田一耕助は、しばらくアメリカに滞在する予定だと告げる。パスポート用写真を撮りに行った写真館の若主人は、謎の女性からの依頼で奇妙な結婚写真を撮影する。翌日、再び写真撮影を依頼され、居合わせた金田一ともども「病院坂の首縊りの家」と言われているいわくつきの空き家へ向かうと、男の生首が天井からぶら下がっていた。(監督:市川崑 出演:石坂浩二、佐久間良子、桜田淳子、草刈正雄、小沢栄太郎、清水紘治、あおい輝彦、加藤武、草笛光子、大滝秀治、他)

 これまた配信が今日10/10までというので、見たのでした。原作は出版された1978年に単行本で読んでいます。
 が、映画を見て思ったけど、まったく憶えていない(´ω`;)。瓜二つの女性が出てくる、ということは映画見ていて思い出した。
 映画自体はおそらく初見です。見始めてとにかくびっくりしたのは、「先生」こと横溝正史自身が最初のショットで出てきて、かなり長いシーンを演じていたということ。金田一耕助(石坂浩二)が「アメリカに行くつもりで」とか言っているところに、中井貴恵やら横溝夫人(これも本人)も現れて、「写真撮るなら老舗の写真館で」とすすめる役なのです。メタフィクションな役柄をそつなくこなしていたわ〜。見ていたら多分憶えているはずだよね……。
 吊るされた首の身元はジャズバンドのリーダーである山内敏男と判明する。彼が妹の小雪とともに住んでいた郊外のガレージには血痕が残され、小雪は行方不明。その後、金田一に調査を依頼していた写真館の主人とバンドのメンバーの一人も殺される。
「病院坂」の名の由来である大病院の理事長である法眼弥生の娘・由香利と、小雪が瓜二つであるとわかったことから、次第に隠された人間関係が明るみになっていく──。
 この人間関係がすごく複雑で、途中で系図が出てくるところでは思わず画面を止めて、まじまじと見てしまったくらいです。小雪と由香利がそっくりなのも無理からぬ理由がちゃんとあるんだけれど、身勝手な男たちに翻弄された女性たちの悲劇が発端となっている殺人事件です。ほんとひどい。今まで一番ひどいと思ってたのって『悪魔が来りて笛を吹く』なんですが、匹敵するほどの男どものひどさ。まともな男がいないじゃないか! まともなのは金田一だけってことなのか……。だからこそ、事件が解決すると嫌気がさしてしまう、という冒頭部分につながるのか。
 原作を読み直して、どう違っているのか確かめたい! 映画を憶えているうちに! 最近すぐ忘れちゃうから!
 けど……実は私、ずっと金田一耕助ものを(概ね)順番通りに読み直している(初読のものもあり)のですが、『病院坂の首縊りの家』を読むまでまだ時間かかりそうなのです。途中のものならすぐに読んじゃうと思うのですが、何しろ「金田一耕助最後の事件」だから、せっかくなので最後に読みたい……。短編集はすっ飛ばして長編だけでも読んでしまうか……けど、他にも読みたい本もあるし……ああ、悩ましい限りです。
 映画のラストにはもう一度「先生」が出てきて、今度は石坂浩二の代わりに草刈正雄を交え、妙にほのぼのとして終わります。締めくくりも先生のセリフで、結局原作者の印象が一番残る映画になったのでした。
(★★★☆)
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最終更新日 : 2021-10-10

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