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2009 · 07 · 06 (Mon) 12:12

●『楽園に落ちた天使』ローラ・リー・ガーク

●『楽園に落ちた天使』ローラ・リー・ガーク(ラズベリーブックス)
 1871年、ルイジアナ州。賭けボクシングのリングに立ったコナーは、八百長試合を拒否したため、胴元に叩きのめされ道端に放り出される。そこに通りかかり、家へ連れ帰って手当をしてくれたのは、三人の娘を抱えて1人で農園を切り盛りするオリヴィアだった。("Conor's Way" by Laura Lee Guhrke,1996)

 既読のローラ・リー・ガーク作品『愛のかけらは菫色』でも思ったけど、ヒーローの心情を丁寧に描いています。彼の過去が、かなり重くて悲惨。もう、ほとんど『火垂るの墓』の世界。妹との最期の会話なんて、まんま節子ですよ。ヒロインも貧乏だし、最初の方は何もいいことが起こりそうもなく、ハッピーエンドになるんかいな、と疑問に思ったほど。
 ヒロインは南部の典型的な裕福層だったので、南北戦争終結とともに働き手の奴隷たちがいなくなって没落している。片やアイルランド人のヒーローは、イギリス人に搾取され続け、家族も殺されたり飢饉で亡くしたり、反乱組織に参加したりしているので、立場的には正反対。国が違うとはいえ、理解しあえるとは思えなかったなあ。
 だから、最後のところは、私としてはもう少しヒーローがゴネてもよかったのではないか、と思いました。これは完全に個人の好みでしかありませんが。普段は意固地なヒーローが嫌いなくせにね。けど、このヒーローの場合は性格の問題じゃないからなあ。てんこ盛りのトラウマと折り合いをつけるのに、もう一つ何か要素が欲しかった、私は。現実は、こんな感じだとは思うんだけどね。
 でも、感動作だとは思います。甘さはないけど、読み応えありますよ。
(★★★☆)

最終更新日 : -0001-11-30

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