Top Page › 今でも読めるロマンスの名作 › ●『悪の華にくちづけを』ロレッタ・チェイス(再掲)

2023 · 04 · 03 (Mon) 15:13

●『悪の華にくちづけを』ロレッタ・チェイス(再掲)

●『悪の華にくちづけを』ロレッタ・チェイス(二見文庫)
 男勝りな性格のジェシカは、自立心旺盛な27歳。その美貌にもかかわらず結婚に興味がなく、心配の種は放蕩三昧の弟だ。彼が悪名高いデイン侯爵とつきあっていると知り、連れ戻すためにパリへおもむく。("Lord of Scoundrels" by Loretta Chase, 1995)

 初掲載は2009年2月28日
 紙の本のみですが、昔からとても評判のよいヒストリカルです。一番の魅力はなんといってもヒロイン。彼女のある行動には、最初読んだ時すごくびっくりしたんですけど(゚Д゚)!(記憶違いだったらすみません……)

 ああ──こういうすれ違いものって好きだー。お互いがメロメロなのに、誤解しあったり、素直になれなかったりって話。ただこれ、あまり湿っぽくなかった。けっこうこういう話って、ウジウジするんだよね。特にヒロインの方が。これも嫌いじゃないですよ。私のど真ん中は、ウジウジするヒロインを愛するあまり追いつめて、ついでに自分も追いつめて苦しむ鬼畜ヒーローなんですが、これは違う。
 何しろ、ヒロインが男勝りですから。ヒーローより勝(まさ)ってますから! ヒーローは大きな身体に傷つきやすい心を抱えた少年なのです。小さな従弟たちを育てた経験のあるヒロインはそれをちゃんと見抜き、少年のまま育たなかった心を優しく温かく包み込みます。そして、賢くて潔い。度胸もあるし、腕っ節まで強い。相手が愛する人であろうと、きついお仕置きをします。
 ヒーローの外見が「醜い」というのも私としては萌えポイントですが、ヒロイン視点が移ったのか、そんなにブサイクな印象はなかったなあ。『ジェイン・エア』のロチェスターを思い出した。堂々たる体躯の、神にたとえられる男を「醜い」とは思えないよ。
 脇キャラもよかった。特におバカキャラ。ヒロインの弟は、ほんとにバカだったなあ(´∀`;)。最後まで出張ってきたらどうしようかと思ったよ。悪役もいるんだけど、暗躍してるんだよね。それに気づかないヒーローって、結局は純な奴だったんだなあ。これから嫁の尻に敷かれ放題なのが目に見えるようだけど、そのヘタレ具合がまた好きだ。
(★★★★)

最終更新日 : 2023-04-03

Comments







非公開コメント