2023 · 04 · 26 (Wed) 13:53 ✎
□『イニシェリン島の精霊』"The Banshees of Inisherin" 2022(ディズニープラス)
1923年、アイルランド。西海岸の小さな島イニシェリンに住むパードリックとコルムは親友同士だが、ある日突然、コルムから「絶交」を言い渡される。身に憶えのないパードリックはコルムに理由をたずねると、彼の口から思いがけない言葉が告げられる。(監督:マーティン・マクドナー 出演:コリン・ファレル、ブレンダン・グリーソン、ケリー・コンドン、バリー・コーガン、他)

1923年、アイルランド。西海岸の小さな島イニシェリンに住むパードリックとコルムは親友同士だが、ある日突然、コルムから「絶交」を言い渡される。身に憶えのないパードリックはコルムに理由をたずねると、彼の口から思いがけない言葉が告げられる。(監督:マーティン・マクドナー 出演:コリン・ファレル、ブレンダン・グリーソン、ケリー・コンドン、バリー・コーガン、他)
『スリー・ビルボード』の監督の新作と聞いた時から「見たい」と思っていました。期待どおり、どこに連れていかれるかわからないストーリーです。
とはいえ、本筋はあらすじどおり「おじさんたちの仲違い」の話です。それが少しずつエスカレートしていく。それだけです。けれどなぜか面白い。
二人の仲が本国で起こっている内戦を象徴しているとか、小さな仲違いが取り返しのつかない方向に転がっていく、みたいな言われ方をしているこの映画ですが、私が一番気になったのは、ラストというか……どうもなんか、ひどい誤解をしたみたいなんですよね、私(´ω`;)。
なぜか私、最後にどちらかが死んだと思ってしまった。でも、2人は死んでない。辻褄はそれで合ってる。なぜかというと、「ふたつの命がなくなる」みたいな予言があらかじめ提示されていたからです。そして、映画の中では2人以外の明白な死が2つ描かれる。なのにどうして私は、「2人のうちのどちらかが死んだ」と思ってしまったんだろう?
実は最近、ていうか昔からずっとやっていたあることに気づいたのです。小説を読んだり映画を見たりしている時にみんないろいろ先を考えたり、ラストを想像しながら読んでいると思うんですが、私の場合、その想像が暴走して「自分の考えたストーリーと置き換えてしまう」という現象が起こるんですよね。
単なる思い違いというなら誰でもあると思うんですが、ちゃんと書いてあったり、今回の映画のように念押しみたいなセリフがあるというのに、さらにそれを明らかに憶えてもいるのに、なぜか思い込んでしまう。若い頃に読んだり見たりしてそれっきりのものだったらかなり思い出補正があるとは思うのですが、今読んだばかり見たばかりのでもあるんですよねえ。別に自分の考えたラストの方がいいとか思ってるわけじゃないんですが(´・ω・`)。
こんな人間が感想とか書いていいのだろうか、とちょっと自分を疑ってしまった。明らかに読み取れていないのがわかる感想とかバカにできない……。
どうやって書こうかとだいぶ悩んだのですが、結局そのまま書きました(実は配信されて割とすぐに見てたんですけど)。変な解釈したからって別に面白さが損なったわけじゃないので。ていうか、話自体はかなり矛盾している。特にコルムの行動はよくわからない。「音楽に専念にしたい」とパードリックに言うのに、どうしてあんなことするの? 作ってるって言ってた曲は映画の中で流れたのかな? まさか、横溝正史の某作品みたいな話じゃないよね……それはそれで怖いけど。
真面目にコメディしているのか、それとも頭おかしい人を描いているのか、「島」という閉鎖空間のせいなのか、でもこういうことってあるよね、みたいなリアルな部分もあり──「事実は小説より奇なり」という言葉がありますが、そんな感じを目指したのかなあ?
でも多分監督は、「別にどんな解釈してもいいよ」って言ってくれそうな気がする!
[4/27追記]
今朝突然この映画って、横溝正史の『獄門島』みたいだなあ、と思いました。
まあ、横溝正史脳の私なのでアレですが(´ω`;)、でも謎が残りすぎてるし、孤島の話だし、なかなかグロいし、濃茶の尼みたいな人も出てくるし(これは『八つ墓村』ですが)。エンディング後に金田一耕助が島にやってきて、謎を解明してほしい、と考えちゃいましたよー。
(★★★★)
とはいえ、本筋はあらすじどおり「おじさんたちの仲違い」の話です。それが少しずつエスカレートしていく。それだけです。けれどなぜか面白い。
二人の仲が本国で起こっている内戦を象徴しているとか、小さな仲違いが取り返しのつかない方向に転がっていく、みたいな言われ方をしているこの映画ですが、私が一番気になったのは、ラストというか……どうもなんか、ひどい誤解をしたみたいなんですよね、私(´ω`;)。
なぜか私、最後にどちらかが死んだと思ってしまった。でも、2人は死んでない。辻褄はそれで合ってる。なぜかというと、「ふたつの命がなくなる」みたいな予言があらかじめ提示されていたからです。そして、映画の中では2人以外の明白な死が2つ描かれる。なのにどうして私は、「2人のうちのどちらかが死んだ」と思ってしまったんだろう?
実は最近、ていうか昔からずっとやっていたあることに気づいたのです。小説を読んだり映画を見たりしている時にみんないろいろ先を考えたり、ラストを想像しながら読んでいると思うんですが、私の場合、その想像が暴走して「自分の考えたストーリーと置き換えてしまう」という現象が起こるんですよね。
単なる思い違いというなら誰でもあると思うんですが、ちゃんと書いてあったり、今回の映画のように念押しみたいなセリフがあるというのに、さらにそれを明らかに憶えてもいるのに、なぜか思い込んでしまう。若い頃に読んだり見たりしてそれっきりのものだったらかなり思い出補正があるとは思うのですが、今読んだばかり見たばかりのでもあるんですよねえ。別に自分の考えたラストの方がいいとか思ってるわけじゃないんですが(´・ω・`)。
こんな人間が感想とか書いていいのだろうか、とちょっと自分を疑ってしまった。明らかに読み取れていないのがわかる感想とかバカにできない……。
どうやって書こうかとだいぶ悩んだのですが、結局そのまま書きました(実は配信されて割とすぐに見てたんですけど)。変な解釈したからって別に面白さが損なったわけじゃないので。ていうか、話自体はかなり矛盾している。特にコルムの行動はよくわからない。「音楽に専念にしたい」とパードリックに言うのに、どうしてあんなことするの? 作ってるって言ってた曲は映画の中で流れたのかな? まさか、横溝正史の某作品みたいな話じゃないよね……それはそれで怖いけど。
真面目にコメディしているのか、それとも頭おかしい人を描いているのか、「島」という閉鎖空間のせいなのか、でもこういうことってあるよね、みたいなリアルな部分もあり──「事実は小説より奇なり」という言葉がありますが、そんな感じを目指したのかなあ?
でも多分監督は、「別にどんな解釈してもいいよ」って言ってくれそうな気がする!
[4/27追記]
今朝突然この映画って、横溝正史の『獄門島』みたいだなあ、と思いました。
まあ、横溝正史脳の私なのでアレですが(´ω`;)、でも謎が残りすぎてるし、孤島の話だし、なかなかグロいし、濃茶の尼みたいな人も出てくるし(これは『八つ墓村』ですが)。エンディング後に金田一耕助が島にやってきて、謎を解明してほしい、と考えちゃいましたよー。
(★★★★)
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最終更新日 : 2023-04-27