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2009 · 07 · 18 (Sat) 14:54

◆『湖に映る影』スーザン・エリザベス・フィリップス

◆『湖に映る影』スーザン・エリザベス・フィリップス(二見文庫)
 シカゴの名門フットボールチーム〈シカゴ・スターズ〉のオーナー夫婦の妹である童話作家のモリーは、チームのスターでクォーターバックのケヴィンに片思いをしていた。だが、ひょんなことから彼と一夜を共にし、妊娠をしてしまう。二人は姉夫婦から強制的に結婚させられるが、直後にモリーは流産してしまう。("This Heart Of Mine" by Susan Elizabeth Phillips,2001)
・〈シカゴ・スターズ〉シリーズ第5作

 ヒストリカルが続いたので、読み応えのあるコンテンポラリーが読みたいなあ、と思って、久々にSEPを手に取ってみました。大好きな〈シカゴ・スターズ〉シリーズ(これでシリーズで読んでないのは、キャル・ボナーのだけになったかな?)。
 確かに彼女の作品は読み応え充分。厚みもあるし、サービスも満点。今回のもその期待は裏切られませんでしたが──うーん、序盤はすっごくよかったんだけどなあ。SEPの作品は、ヒーローのひどさがそのあとの期待を煽るよね。「こんなひどい奴には、どんなお仕置きが!?」という期待。でも、何だか中途半端に終わったような気が……。
 最初の方こそヒーローはひどい奴に見えるけど、だんだんそう思えなくなってきたんだよね(いや、彼は実はそんなひどいことをしたわけじゃないんだけど)。ヒロインの印象はもっと変わったというか、結局最後までつかみきれなかったというか──書いてあることは理解できたんだけど、実感や共感ができなくて。好きというわけでもなく、かといって嫌うほどでもなく。ヒーローに関してもそんな感じに思えてならず。
 優等生タイプのヒロインの思いがけない奇行に振り回される、一見軽そうだけど実はガチガチに保守的なヒーロー、という図式は見えてくるんだけど、その二人のギャップが、私にはどうしてもちぐはぐに思えてね。宙ぶらりんなまま、読み終わってしまった。思い入れがないと、ヒーローの行動にも腹が立たないし、腹が立たないといまいち盛り上がらない、というのもわかった。
 でも! さすがにリーダビリティはバツグンです。冷めて読んでるとすべてがお約束どおりに進んでいくとわかるのに、先は気になるんだよねえ。ヒーローとヒロインが気に入りさえすれば、すごく面白く読めるはず。その筆力ハンパじゃないなあ、といつも思います。
(★★★)

最終更新日 : -0001-11-30

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