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2009 · 09 · 15 (Tue) 21:35

▼『あなたに会えたから』キャサリン・アンダーソン

▼『あなたに会えたから』キャサリン・アンダーソン(二見文庫)
 5年前の事故が元で失語症となり、それまでの生活をすべて失ってしまったローラ。動物クリニックでケンネル・キーパーとして働くことになった彼女は、そこに居場所を見出す。そんな彼女を優しく見守る雇い主の獣医アイザイア。だが、彼女に対して、不可解ないやがらせが──。("My Sunshine" by Catherine Anderson,2005)
・〈コールター・ファミリー〉シリーズ

 いささか卑怯な物語だっ、と思わずにはいられないのですが──だってー、動物まで出てきてさー(´;ω;`)。しかし、ここでそうひねくれても得するわけでもなく……。
 私の大好物である自己評価の低いヒロインですが、そう思うのは単に気持ちの問題ではなく、人から理解されにくい障害の持ち主だから。失語症というのは私もよく知りませんが、知性に問題ないというのは残酷な、と思いました。精神的に乗り越えるのは、それは大変だったに違いない。
 今まで当たり前だったものを失う、というのは、どんなことでもつらいはず。自分のことだと、病気や事故の前を憶えているからなおさらです。「元に戻りたい」「昔はできたのに」と思わなくなる、あるいは思っても苦痛ではなくなるようにならないと、いつまでたっても前に進めない、ということになってしまいます。
 私の友人に片目が見えない人がいるのです。それを知った時はとてもショックだったのですが(よくできた義眼でわからなかった)、「途中で見えなくなるとつらいだろうけど、生まれた時から片目だから、これが普通」とケロリと言う。最初からないものには喪失感がないのです。あったものがもうない、という絶望は、失ってからでないとわからない。(ちなみに、他の国は知りませんが、日本は視力を基準に視覚障害を決めるので、片目が見えなくてももう一方が問題なく見えれば、障害認定はされません。運転免許も持っている友人はその対象じゃないのですね)
 ヒーローがちと及び腰な感じでしたが、ヒロインが失ったもの以上のものを与えよう、と思う気持ちがとてもよかった。そして、やはり一番怖いのは、一見まともな人間であると──ヒロインをおとしめようとする犯人はすぐにわかるというか、最初からバレバレなんですが、この人もつまりは何かが欠落しているわけで……絶望感に飲み込まれた悪い例だよな、と思いました。
 しかし、これもまたシリーズものをあとの方から先に出版したものですか。図書館で借りたから、よくわかんなかったよ……orz
(★★★★)

最終更新日 : -0001-11-30

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