2009 · 10 · 15 (Thu) 22:47 ✎
●『高慢と偏見』ジェーン・オースティン(岩波文庫)
田舎の名家ベネット家の近所に若い財産持ちの男ビングリーが引っ越してくる。ベネット家の次女エリザベスは、家族とともに彼らとの交流を図るが、姉のジェーンほどビングリーに関心は抱けない。彼が連れてきた友人ダーシーの高慢さに驚くが、彼はエリザベスに興味を持つ。("Pride And Prejudice" by Jane Austen,1813)
田舎の名家ベネット家の近所に若い財産持ちの男ビングリーが引っ越してくる。ベネット家の次女エリザベスは、家族とともに彼らとの交流を図るが、姉のジェーンほどビングリーに関心は抱けない。彼が連れてきた友人ダーシーの高慢さに驚くが、彼はエリザベスに興味を持つ。("Pride And Prejudice" by Jane Austen,1813)
あらすじ、難しい……。
いやもう、やっと読んだ……orz やっとというのは読むのがしんどかったのではなく、今まで読んだことがなかったということです。字が小さい、漢字が旧字体、上下巻という難関も、それほど大変ではなかった(ページ数が多いので相応の時間はかかったけど、速く読めた方だと思います)。
ロマンス小説の感想ブログですから、一応原点と言われる作品はちゃんと読んでみよう、と思ったのです。もう一つ、双璧みたいに言われるのは『ジェイン・エア』だと思うけど、これはもう中学生の頃からの愛読書で、去年新訳の文庫も買ったくらい、折りに触れて読む大好きな作品です。こちらはもう、今のロマンス小説の原型と言えるよね。(『嵐が丘』もよく並べられるけど、私はあんまり好きじゃないの……)
しかし、この作品はロマンス小説と言えるのか? 確かにメインの話は、エリザベスとダーシーのすれ違いというか、互いの高慢と偏見を認めて改めて結ばれる、というものだけど、周囲に巡らされている当時の社交生活の描写もかーなーり細かいよね。訳者はこの作品を「社会小説、家庭小説」と書いているけれども、私もそれは賛成だ。(一応ヒストリカルのカテゴリに入れちゃったけどね)
ヒロインのエリザベスの家族から親戚、近所の人やら何やら、やっかい人ばっかりでね。そういうわずらわしい生活感が満載です(´∀`;)。特に母親! もう典型的な困った恥ずかしい母ちゃんですよ。彼女の言動には、いや~なリアリティがありました。だいたいさあ、いい人の方が少ないじゃん。ほとんどやな奴ばっかじゃん! けど、どう見てもやな奴の方が生き生きしてる……作者、相当何かためこんでいたのか、と邪推をしてしまいます。みんなお金と老後のことばっか考えてるか、何も考えてないかだもんなあ。
ヒロインも非の打ち所がないってわけでもないし、ヒーローなんて後半になって何とか挽回って程度だしね。家族に関しても、「こんなもんだよな」みたいな、これまた現在にも通じる雰囲気が漂う……。ヒロインの姉、ジェーンだけが、美しく優しく無償の愛の対象になっているくらい。
今のロマンスってやっぱファンタジーなんだわっ、と改めて思った。
とはいえ、ヒロイン像に関しては好きだ。当時の女性はかなり抑圧されていただろうから、エリザベスみたいに自分の意見をずばずば言ったり、皮肉や意地悪なことも口に乗せられる勇気と知性にあこがれたのではないだろうか。ラスト近く、ダーシーの叔母さん(金持ち、身分高)が「あんた、うちの甥と結婚しないって約束しなさいよ」と乗り込んで来た時のやりとりは痛快だった。
根底のテーマや方向性は今のロマンスとは違うものだけど、小説という観点から見れば人間の描き方自体は変わらないものなんだよなあ、とも改めて思いました。
(★★★)
いやもう、やっと読んだ……orz やっとというのは読むのがしんどかったのではなく、今まで読んだことがなかったということです。字が小さい、漢字が旧字体、上下巻という難関も、それほど大変ではなかった(ページ数が多いので相応の時間はかかったけど、速く読めた方だと思います)。
ロマンス小説の感想ブログですから、一応原点と言われる作品はちゃんと読んでみよう、と思ったのです。もう一つ、双璧みたいに言われるのは『ジェイン・エア』だと思うけど、これはもう中学生の頃からの愛読書で、去年新訳の文庫も買ったくらい、折りに触れて読む大好きな作品です。こちらはもう、今のロマンス小説の原型と言えるよね。(『嵐が丘』もよく並べられるけど、私はあんまり好きじゃないの……)
しかし、この作品はロマンス小説と言えるのか? 確かにメインの話は、エリザベスとダーシーのすれ違いというか、互いの高慢と偏見を認めて改めて結ばれる、というものだけど、周囲に巡らされている当時の社交生活の描写もかーなーり細かいよね。訳者はこの作品を「社会小説、家庭小説」と書いているけれども、私もそれは賛成だ。(一応ヒストリカルのカテゴリに入れちゃったけどね)
ヒロインのエリザベスの家族から親戚、近所の人やら何やら、やっかい人ばっかりでね。そういうわずらわしい生活感が満載です(´∀`;)。特に母親! もう典型的な困った恥ずかしい母ちゃんですよ。彼女の言動には、いや~なリアリティがありました。だいたいさあ、いい人の方が少ないじゃん。ほとんどやな奴ばっかじゃん! けど、どう見てもやな奴の方が生き生きしてる……作者、相当何かためこんでいたのか、と邪推をしてしまいます。みんなお金と老後のことばっか考えてるか、何も考えてないかだもんなあ。
ヒロインも非の打ち所がないってわけでもないし、ヒーローなんて後半になって何とか挽回って程度だしね。家族に関しても、「こんなもんだよな」みたいな、これまた現在にも通じる雰囲気が漂う……。ヒロインの姉、ジェーンだけが、美しく優しく無償の愛の対象になっているくらい。
今のロマンスってやっぱファンタジーなんだわっ、と改めて思った。
とはいえ、ヒロイン像に関しては好きだ。当時の女性はかなり抑圧されていただろうから、エリザベスみたいに自分の意見をずばずば言ったり、皮肉や意地悪なことも口に乗せられる勇気と知性にあこがれたのではないだろうか。ラスト近く、ダーシーの叔母さん(金持ち、身分高)が「あんた、うちの甥と結婚しないって約束しなさいよ」と乗り込んで来た時のやりとりは痛快だった。
根底のテーマや方向性は今のロマンスとは違うものだけど、小説という観点から見れば人間の描き方自体は変わらないものなんだよなあ、とも改めて思いました。
(★★★)
最終更新日 : -0001-11-30