2009 · 10 · 30 (Fri) 11:16 ✎
▼『夏の恋はミステリアス』エリザベス・ローウェル(MIRA文庫)
馬術選手のレインは、オリンピックに出場するため、ロサンゼルスへやってきた。耐久競技コースの下見に丘陵を一人で歩いている時、背後から襲われ、地面に組み伏せられる。彼の名前はコード・エリオット。オリンピックのテロ対策のために政府から送り込まれた諜報員だった。("Remember Summer" by Elizabeth Lowell,1984)
馬術選手のレインは、オリンピックに出場するため、ロサンゼルスへやってきた。耐久競技コースの下見に丘陵を一人で歩いている時、背後から襲われ、地面に組み伏せられる。彼の名前はコード・エリオット。オリンピックのテロ対策のために政府から送り込まれた諜報員だった。("Remember Summer" by Elizabeth Lowell,1984)
何だかぼやんとした印象しか残らず……(´-ω-`)。
ヒロインのレインは、自分のことをだいぶ低く見ていますが、実際は政府要人の娘で、オリンピックに出られる実力を持つアスリート。しかも競技は馬術というんだから、本物のセレブです。それでコンプレックスを持たれたら、庶民のこっちはどうしたら……(´д`;)。
ヒーローは自分の本当の名前も明かせない特殊任務専門の諜報員で、あれれという間に彼女のボディガードをすることになります。自分のことを「兵士」と言い、ヒロインのことを「姫」と呼ぶ。身分違いの恋を描きたかったのかな、と思ったけど、ちょっと違うみたい……。住む世界の違いというより、自分の身の置きどころをどう譲るか、みたいな話なのかなあ? ヒロインの母はそれを夫に譲って苦しんだから、ヒロインはその選択は絶対にしたくないと思っているわけです。ちゃんと家に帰ってきて、一緒にいてくれる旦那を望む。
で、ちょっと話がズレるかもしれないけど、若い頃──それこそ子供の頃とかせいぜい中学生の頃?──に見た映画(タイトルはネタバレになるから書かない)を思い出した。その映画のヒーローは自由奔放に生きてて、お嬢様のヒロインがさらわれてそこから救出したあとは、当然のように二人で自由に旅をしながら生きていこうと思うんだけど、
「でも、子供はどう育てたらいいの?」
というヒロインの言葉にはたとなり、家庭を築くことにする。若い頃の私はそのラストにショックを受けた。自由に生きるという選択の方が正しいと思っていたからです。家庭に落ち着いてしまうという、平凡でつまらないラストになるなんて! と思ったんだよね。
けど、よく考えたらこれはロマンス小説のラストそのもの。今は、そういう家族仲良く健康で孤立しない環境というのが、実は平凡というほどたやすく手に入るものではない、とわかっているから、ロマンスを読んで安心感を抱けるけど、あの頃の私は若く傲慢だった……。歳とともに身体が動かなくなるとか、精神的な限界が見えてくるとか、孤独感が身に染みるとか、そんなこと夢にも思わなかったはず。刺激や緊張感の続く生活に憧れていたんだろうけど、そんなのアドレナリン中毒とかでない限り、続けられない。仮に続けられたとしても長生きはできそうにないよね……。
太く短く生きるのもまた人生、とは思うけど、いろんな意味で孤独ではありましょう。
(★★☆)
ヒロインのレインは、自分のことをだいぶ低く見ていますが、実際は政府要人の娘で、オリンピックに出られる実力を持つアスリート。しかも競技は馬術というんだから、本物のセレブです。それでコンプレックスを持たれたら、庶民のこっちはどうしたら……(´д`;)。
ヒーローは自分の本当の名前も明かせない特殊任務専門の諜報員で、あれれという間に彼女のボディガードをすることになります。自分のことを「兵士」と言い、ヒロインのことを「姫」と呼ぶ。身分違いの恋を描きたかったのかな、と思ったけど、ちょっと違うみたい……。住む世界の違いというより、自分の身の置きどころをどう譲るか、みたいな話なのかなあ? ヒロインの母はそれを夫に譲って苦しんだから、ヒロインはその選択は絶対にしたくないと思っているわけです。ちゃんと家に帰ってきて、一緒にいてくれる旦那を望む。
で、ちょっと話がズレるかもしれないけど、若い頃──それこそ子供の頃とかせいぜい中学生の頃?──に見た映画(タイトルはネタバレになるから書かない)を思い出した。その映画のヒーローは自由奔放に生きてて、お嬢様のヒロインがさらわれてそこから救出したあとは、当然のように二人で自由に旅をしながら生きていこうと思うんだけど、
「でも、子供はどう育てたらいいの?」
というヒロインの言葉にはたとなり、家庭を築くことにする。若い頃の私はそのラストにショックを受けた。自由に生きるという選択の方が正しいと思っていたからです。家庭に落ち着いてしまうという、平凡でつまらないラストになるなんて! と思ったんだよね。
けど、よく考えたらこれはロマンス小説のラストそのもの。今は、そういう家族仲良く健康で孤立しない環境というのが、実は平凡というほどたやすく手に入るものではない、とわかっているから、ロマンスを読んで安心感を抱けるけど、あの頃の私は若く傲慢だった……。歳とともに身体が動かなくなるとか、精神的な限界が見えてくるとか、孤独感が身に染みるとか、そんなこと夢にも思わなかったはず。刺激や緊張感の続く生活に憧れていたんだろうけど、そんなのアドレナリン中毒とかでない限り、続けられない。仮に続けられたとしても長生きはできそうにないよね……。
太く短く生きるのもまた人生、とは思うけど、いろんな意味で孤独ではありましょう。
(★★☆)
最終更新日 : -0001-11-30