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2009 · 11 · 15 (Sun) 22:56

●『もつれた蜘蛛の巣』ルーシー・モード・モンゴメリ

●『もつれた蜘蛛の巣』ルーシー・モード・モンゴメリ(角川文庫)
 ダーク家とペンハロウ家に伝わる由緒ある水差し。現在の持ち主ベッキーおばがそれを誰に譲るのか。彼女は一族みんなを家に呼んで“接見”を開き、その驚くべき遺言を披露する。そのために一族の者たちは、水差しの魔力に日常を狂わされていく。("A Tangled Web" by Lucy Maud Montgomery,1931)

 ああ、時間がかかった……。
 とにかく登場人物、多すぎる! しかも、名字がみんなダークかペンハロウだし。名前まで同じ人もいるし、歳も家族構成もこんがらがるし。とーにかく、誰が誰だか、何が何だかわからない……orz
 いや、タイトルの面目躍如ですが(^^;)。多分、作者としてもそういうことを意図して書いていると思われます。原書でも名字を間違えてるって訳者のあとがきにあった……。登場人物表は終わるまでなるべく見ないようにしてるんだけど、今回は頻繁に見た。でも、全然足りないんだよね(´∀`;)。途中からやっぱり見なくなっちゃったよ。群像劇と言えば聞こえはいいけど、もつれすぎ。
 ただ、ここをちゃんと読まないと後半はつまらなくなると思う。尻上がりに面白くなっていきます。主人公はいないと言ってもいいんだけど、注目すべきキャラはいます。18歳の恋する美少女ゲイ。10年前の結婚式の夜、夫の家から出ていったジョスリン。戦争未亡人のドナ。そして、美しいものを愛する孤独なマーガレット。(騒動の発端であるベッキーおばさんは別格)
 全部女性ですが、基本男たちはおまけのようなものです。熱に浮かされた感情に翻弄されながらも、自分の居場所を見出していく女性たちの物語。特に、マーガレットの結末は涙涙、でした。水差しの存在は“青い鳥”みたいなものなのです。その騒動によって、変わらざるを得ない人々を描いた物語でもあります。
 そして、今作も『青い城』と同様に風景描写が美しい。舞台はプリンス・エドワード島ですよ。一年に渡る騒動なので四季が丹念に描かれていて、言葉の選び方や繊細な比喩はやっぱり素晴らしいです。
 でもね……一応ロマンスのカテゴリにしたけど、本当はちょっと違う……。いや、それはいいんだけど。ぴりっとした皮肉やひねりあるエピソードなど、巧みさも効いてるんだけど、前半の読みにくさがなあ……。
(★★★☆)

最終更新日 : -0001-11-30

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