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▼『恋に危険は』スーザン・イーノック

▼『恋に危険は』スーザン・イーノック(ライムブックス)
 フリーの美術コンサルタントであるサマンサの裏の顔は、父親から英才教育を受けた個人所有美術品専門の泥棒。だが、その日忍び込んだ屋敷では、いないはずの主人アディソンが姿を現し、爆弾まで仕掛けられていた。とっさに彼をかばい逃げ出したサマンサだったが、警備員が死に、自分に殺人容疑がかけられてしまう。サマンサは容疑を晴らすため、アディソンに協力を申し入れる。("Flirting With Danger" by Suzanne Enoch,2005)



 ヒロイン、いいです! 今まで読んだ中で、一番いいかも。
 最初は泥棒という職業にちょっとひっかかりがあったんだけど、読み進めるうちに、父親の「英才教育」というのの中には、自分に最適な相棒にするため、彼女をその世界でしか生きられないように思い込ます、というのも入っていたのかな、と思いました(はっきりとは書いてないけど)。一つ間違うとひどく視野の狭い人間になりかねない幼少体験だけど、ヒロインはそこまで頑なではない。というより、執着心がなさすぎる。だからと言って冷めているわけでもない。「まともな」生活に憧れてもいます。でも、それがとても淡いんだよね。あきらめているわけでもなく、まるで異世界を空想している子供みたいな淡さ。
 彼女の泥棒のテクニック(だけでなく諸々含めて)はおそらく「天才」というレベルなんだろうけれども、考え方や生き方もちゃんと「天才」になっていると思いました。凡人が感じるような葛藤やためらいというものがない。ヒーローとの恋愛も、「いつか別れなきゃならないから」とうじうじ悩むようなことはしません。だからこそ楽しもう、幸せを味わい尽くそう、という態度が潔い。あとで考えたって、たいていは何とかなるものです。彼女ほどの「天才」ならなおさら。
 自己否定ヒロインに弱い私だけど、こういう傲慢ではない軽やかな自信を持つ天然さんもかわいくて好きだ。
 ヒーローもよかったです。この人も潔かった。泥棒である彼女に惚れてしまってちょっと葛藤はするけど、疑心暗鬼に苛まれることなく、あっさりと彼女を信じ込んでメロメロ状態です。始終ヒロインのことを心配したり、いなくなっちゃうんじゃないかと気を揉み続けているところがツボでした。
 しかし、サスペンスというか、謎解きの部分は(´∀`;)──いや、すごくがんばってるなあと思ったし(作者初のコンテンポラリー作品だったそうで)、面白く読めるんですが、もう少しシンプルにまとめられていたらなあ……。あんまり長くて入り組んでると、犯人がわかっても驚きがなくてね……。関心が結局主人公二人に集中しちゃうし。難しいところだよね、そういうバランスってさ。
 でも、それ以外は満足。ヒロインのゴジラに対する見解にも全面的に賛成。ゴジラは人間の脅威じゃなくっちゃいけません。
(★★★★)
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tag : サスペンス/ミステリ ライムブックス ★★★★

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    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
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