2009 · 12 · 23 (Wed) 14:25 ✎
▼『眠れずにいる夜は』リサ・マリー・ライス(二見文庫)
バーモントの田舎町で図書館司書をしているチャリティは、仕事のため図書館へやってきた裕福なビジネスマン、ニックから食事に誘われる。チャリティは戸惑いながらもその誘いを受けるが、ニックには彼女の友人であるロシア人小説家ワシーリィの情報をつかむ目的があった。("Dangerous Secret" by Lisa Marie Rice,2008)
・〈デンジャラス〉シリーズ第2作
バーモントの田舎町で図書館司書をしているチャリティは、仕事のため図書館へやってきた裕福なビジネスマン、ニックから食事に誘われる。チャリティは戸惑いながらもその誘いを受けるが、ニックには彼女の友人であるロシア人小説家ワシーリィの情報をつかむ目的があった。("Dangerous Secret" by Lisa Marie Rice,2008)
・〈デンジャラス〉シリーズ第2作
面白かったー。ヒーローヒロインともにいいし、お話もよかった! なんか……偉そうですが、だんだんサスペンスの部分がうまくなってきてるよ!ヽ(´ω`)ノ
基本的にリサ・マリー・ライスって、ロマンスの部分はうまいし、しかも個性的だと思うんです。ヒーローとヒロインのHOTシーンだけでなく、そういうのが絡まない何気ない会話や個別のシーンから心理を垣間見せたりするのも上手。今回も、後半にあったヒーローの仲間とヒロインの会話などが泣かせます。
原文は描写が少なめで、おそらくそっけない文体なんじゃないかと思うんだけど、いい意味ではシンプルでシャープ、悪い意味では説明不足。それがシリーズの第一作『危険すぎる恋人』では少し悪い方に出ていたように思えるけど、今回は効果的だったんじゃないかなあ。特にサスペンスの部分。事件の細かな描写は排し、ヒーローとヒロインに絡むところと、敵役の背景だけに絞った構成で充分伝えています。敵役ワシーリィの過去はとても悲惨でかわいそうなんだけど、怪物になってしまった彼が現在やっていることがわかった瞬間、物語はさらに複雑な陰影を帯びる。
かなりの確率で現れるロマンスとサスペンスの乖離の謎がちょっとわかった気がしたよ。つまり、単純なことだけど、悪役は別世界の生き物ではない、ということ。ワシーリィにも幸せになる権利があった、と思うのと思わないのでは、物語の深みがかなり違うはず。
ただ、そう思わせるのにはやはり筆力が必要です。作者にはその力がついてきたんじゃないか、と私は思いました。
ヒロインは優しく上品な美人という一見ありがちな女性ですが、ヒーローの嘘をねちねち悩むこともなく(そんなヒマないとも言う)、思い切りもいいです。ヒーローは──ヒーロー、久々に発見したヘタレな奴だ! 私ってば男の涙に弱いし、大好物満載で堪能いたしました。訳者あとがきに「危険すぎる恋人」のおまけもあり。
[12/24追記]
ヒーローを“ヘタレ”と決めつけたのは、ちょっと短絡的でした……。ヘタレはこれとは違うよね、やっぱり。
その勘違いは、ヒーローが泣いたせい──つまり私って単に、泣いちゃう男に弱いだけじゃん、と思い直して──ニックには謹んで“泣き虫”という称号を与えよう(^^;)。
(★★★★☆)
基本的にリサ・マリー・ライスって、ロマンスの部分はうまいし、しかも個性的だと思うんです。ヒーローとヒロインのHOTシーンだけでなく、そういうのが絡まない何気ない会話や個別のシーンから心理を垣間見せたりするのも上手。今回も、後半にあったヒーローの仲間とヒロインの会話などが泣かせます。
原文は描写が少なめで、おそらくそっけない文体なんじゃないかと思うんだけど、いい意味ではシンプルでシャープ、悪い意味では説明不足。それがシリーズの第一作『危険すぎる恋人』では少し悪い方に出ていたように思えるけど、今回は効果的だったんじゃないかなあ。特にサスペンスの部分。事件の細かな描写は排し、ヒーローとヒロインに絡むところと、敵役の背景だけに絞った構成で充分伝えています。敵役ワシーリィの過去はとても悲惨でかわいそうなんだけど、怪物になってしまった彼が現在やっていることがわかった瞬間、物語はさらに複雑な陰影を帯びる。
かなりの確率で現れるロマンスとサスペンスの乖離の謎がちょっとわかった気がしたよ。つまり、単純なことだけど、悪役は別世界の生き物ではない、ということ。ワシーリィにも幸せになる権利があった、と思うのと思わないのでは、物語の深みがかなり違うはず。
ただ、そう思わせるのにはやはり筆力が必要です。作者にはその力がついてきたんじゃないか、と私は思いました。
ヒロインは優しく上品な美人という一見ありがちな女性ですが、ヒーローの嘘をねちねち悩むこともなく(そんなヒマないとも言う)、思い切りもいいです。ヒーローは──ヒーロー、久々に発見したヘタレな奴だ! 私ってば男の涙に弱いし、大好物満載で堪能いたしました。訳者あとがきに「危険すぎる恋人」のおまけもあり。
[12/24追記]
ヒーローを“ヘタレ”と決めつけたのは、ちょっと短絡的でした……。ヘタレはこれとは違うよね、やっぱり。
その勘違いは、ヒーローが泣いたせい──つまり私って単に、泣いちゃう男に弱いだけじゃん、と思い直して──ニックには謹んで“泣き虫”という称号を与えよう(^^;)。
(★★★★☆)
最終更新日 : -0001-11-30