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2010 · 04 · 01 (Thu) 07:56

●『ひそやかな初夏の夜の』リサ・クレイパス

●『ひそやかな初夏の夜の』リサ・クレイパス(ライムブックス)
 19世紀半ばの英国。24歳のアナベルは名家の娘だが、家は落ちぶれ持参金もない。そのせいで求婚もされずに3年、社交シーズンを過ごしてきた。彼女は同じく“壁の花”の女性3人と知り合い、互いの結婚のため手を貸すことになる。アナベルは上流社会で生きていくため、どうしても貴族と結婚したかった。そう、ただ裕福なだけで粗野な実業家、サイモン・ハントのような男ではなく──。("Secrets Of A Summer Night" by Lisa Kleypas,2004)
・〈壁の花〉シリーズ第1作

〈壁の花(ウォールフラワーズ)〉シリーズをついに読み始めてしまった! 立て続けに読んでしまいそうでどうしよう、と思ってたけど、やはり読みたいものを優先した方がいいだろう、ということで──読んじゃったよ。やっぱり続けて読んでますよ(^^;)。
 ヒロインは、そんなにお高いという印象はないけど、生きてきた世界が狭いというか、モラトリアムみたいな気持ちを抱えている雰囲気です。自分の居場所は上流社会と決めつけ、ヒーローのような平民と結婚すると見下されてつまはじきにされる、と本気で信じていた(ヒーローの親友ウェストクリフ伯爵に言わせると)「自己中心的で浅はかな」人。そう思いながらも結婚したわけですから、ウェストクリフ伯爵やヒーローの家族から「金目当てで結婚した」と思われてしまいます。そこら辺、強く反論できない自分にモヤモヤ。
 でも、こういう考えの人はいつの時代もいるというか……上か下か、みたいなものの見方はどうしても消えるものではないし、厳しい階級制度が実際にあったり、暗黙の了解として存在している国はいくらでもある。明確な目標を持つことが難しいのが今の日本でもあるので、選択肢を自分でなくしているとはいえ、ある意味彼女の行動は迷いがない。それがその当時の常識の一つであるわけだし。結婚後に蔑まれたりするのも自己責任と認識はしているよね。
 ただ、ヒーローが──彼は、彼女の望むことを全部叶えてあげたいとがんばってるんだけど、本当に望んでいたことを自分が奪ったとも思っているので、「そんなに世界を狭く見ないで」と言いたくても聞いてくれないだろう(・ω・`)ショボーンと思っている節があり、それがちょっとかわいそうだった。ヒロインよりも、あまり語られないヒーローの気持ちの方が切なくて、ラストの会話に涙しました。
 ところで、ウェストクリフ伯爵ってもしかして“やな奴”として描かれていたのかな。『悲しいほどときめいて』『もう一度あなたを』を先に読んだせいか、私はそんなふうに思えなかったけど。
(★★★☆)

最終更新日 : -0001-11-30

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