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2010 · 04 · 04 (Sun) 15:38

●『冬空に舞う堕天使と』リサ・クレイパス

●『冬空に舞う堕天使と』リサ・クレイパス(ライムブックス)
 横暴な親戚のひどい仕打ちに耐えかねたエヴィーは、自分と同じように追いつめられているはずのセントヴィンセント子爵セバスチャンの元を訪れ、驚くべき提案をする。「今すぐグレトナグリーンへ発って、私と駆け落ち結婚をしてください」。美貌の放蕩者であるが、経済的には困窮しているセバスチャンには選択肢がなかった。二人は誰にも言わずに、スコットランドへ向けて旅立つ。("Devil In Winter" by Lisa Kleypas,2006)
・〈壁の花〉シリーズ第3作

『ひそやかな初夏の夜の』『恋の香りは秋風にのって』に続く〈壁の花(ウォールフラワーズ)〉シリーズ三作目です。緊張すると吃音が出るため、おとなしくて引っ込み思案のエヴィーの物語。本当は聞き上手で思慮深く、そして元ボクサーだった父親の気質を受け継いだ根性の座った女性です。壁の花のヒロインの中で、一番のお気に入り。
 片やヒーローは、放蕩の限りを尽くし、前作でとんでもないことを起こして、友人の信頼もなくしたどん底貴族。

「お金が必要なら、私と駆け落ちすればいい。そのかわり、病気の父親に会いたい」

 というヒロインの提案に「どうしよっかな~」みたいなもったいぶった態度をとりながらも、受け入れるしかない、というダメダメさん。
 私は元々、放蕩者とかプレイボーイとかそういうろくでなしが、全然好みじゃない女性に惚れて改心する、というお話が大好きなので、堪能いたしましたよ。前半は特に、前作からまったく間を置かずに読み始めたので、二人の駆け引きからグレトナグリーンへの出立、その道中の長さやつらさや寒さ、スコットランドでの結婚の様子、そしてロンドンに帰ってからのヒロインと父の再会シーン──山場のてんこ盛り!
 この再会シーンを読んで、『あなたのすべてを抱きしめて』から時間軸に沿って読み続けてみてよかったー、と思いました。『あなたを夢みて』では元気だったアイヴォウ・ジェナーの年老いた姿と、娘に対する愛情に胸が詰まる。彼が愛娘を手元に置けなかった事情もわかるから、余計に。
 ただ、前半が良すぎた──前半が。後半はなんかもう、おまけとまでは言わないけど、ヒーローをどうにかしなきゃみたいな感じになっちゃったかなあ……orz 彼がある人と比べられるシーンがあるんだけど、それが何と、私のナンバーワンの人! だから、つい「ええーっ(´д`;)」って思うの無理ないじゃないですか。いや、ヒーローのせいじゃないし、彼も私の大好物である「自分はヒロインにふさわしくない」と苦悩する男なんだけどさあ。
 それからヒーロー、ヒロインにメロメロというより、下僕のような雰囲気だ。彼女は別にいばったりしないと思うけど、何となく頭が上がらないというか……実はかかあ天下な夫婦?
 多分、壁の花の中でも、彼女は一番強い女性なんだと思うよ。
(★★★★)

最終更新日 : -0001-11-30

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