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2010 · 06 · 17 (Thu) 18:49

▲『七年後の恋人』スーザン・ブロックマン

▲『七年後の恋人』スーザン・ブロックマン(ランダムハウス講談社)
「ぼくはタイムトラベラーなんだよ、マギー。世界を救うために、きみの力を借りたい」。マギーの家に現れた見知らぬ男チャックは、そう言った。信じることなどできるはずもない。彼と私はこれから出会い、七年後はいい友だちだと教えてくれた。だとしたら、今こうして惹かれている気持ちは何なの?("Time Enough For Love" by Suzanne Brockmann,1997)

 タイムトラベルものは、最初からいろいろハンデがあるようなものです。
 そもそもタイムパラドックスを理論的に解決するのが難しい。それでもそれをものともしない名作がたくさんあるからです。まさに、「一番を目指さないと二番にもなれない」ジャンルであると思います。
 それでも恋愛ものとタイムトラベルの相性がいいことは確かです。これもまたタイムパラドックスの一つなわけですが、
「未来からやってきた男と、今存在しているその男との三角関係」
 というテーマ。

「同じ人間だけれど同じ人間ではない未来と今の自分の、どちらをより彼女は愛しているのか」
「過去が変わると人格も変わるかもしれないから、将来彼女に愛してもらえなくなるのではないか」
「過去が変わったら、未来から来た自分が消滅してしまう。残ったあいつは彼女を僕と同じように愛せるのか」


 と嫉妬したり不安になったり嘆いたり──本人なのに(^^;)。というややこしいことに。この作品の場合、若い方とヒロインはまだ出会っていませんし、未来の関係も友だちですが、出会っていたとして、なおかつ未来が恋人とか夫婦だったとしたら、これまたいろいろ葛藤が生まれてしまう。
 手練れなスーザン・ブロックマンですから、割とそういう設定のややこしいところはいい意味で適当にすっ飛ばして書いてあります。あくまでもテーマはヒーローたちとヒロインの「三角関係」であり、三人がいかにこの状況を受け入れ、納得して幸せになるか、ということだけ描く。
 こういう「三角関係」は私の大好物ですが、実は私の“一番”は別の作品で──ええ、いつか書こうとは思っていますけれども。
 たとえ名作であろうとも、ツッコミどころを探せばいくらでも出てくるのがタイムトラベルもののさだめなので、くどくど言うまい。「無難にまとまっている」という言い方はあまりよくない印象を与えそうですが、このジャンルとしてはほめ言葉かも。
(★★★☆)

最終更新日 : -0001-11-30

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