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2010 · 06 · 20 (Sun) 07:34

●『金色の巫女に捧ぐ』メアリー・ジョー・パトニー

●『金色の巫女に捧ぐ』メアリー・ジョー・パトニー(ランダムハウス講談社)
 1839年ロンドン。自らをペリグリンと名乗るさすらい人は、復讐の標的ウェルドンの婚約者レディ・サラを奪おうとしていた。彼女は、従兄から異国カフィリスタンの皇子と紹介されたペリグリンに心奪われるが、婚約者への礼儀と規範を重んじるため、彼と距離を置こうとする。("Silk And Shadows" by Mary Jo Putney,1991)
・〈シルク〉シリーズ第1作

 かなり長いですし、力作です。宿敵の極悪非道さも相当のもの。真綿で首を絞めるように、彼を追いつめようとするヒーロー。落馬事故で脚が不自由になったヒロインは、限られた(だが恵まれた)世界の中で平穏に暮らしたいと願っていますが、ヒーローとの出会いでそれが揺さぶられます。
 私としては、復讐をきっちりと果たして欲しかったと思いました。だってー、ひどいし気持ち悪いんだもん!ヽ(`Д´)ノ 悪役として何というのでしょうか、悪い奴からも嫌われるタイプ。刑務所に入ると、他の囚人から一斉にいたぶられる奴。「やれ、やれ~!」とヒーローを応援しちゃいますよ。
 が、ヒーローはその復讐心がヒロインを失うことになると気づき、悩んだ末にあきらめるというか、別の形で鉄槌を与えることにする。
 もちろんお話としてはこうなることは予想できますよ。ヒロインの性格から言って、「私も協力するから」みたいにはならない、と思ってました。でも、ヒーローはそれでいいとしても、読みながら煽られた私の怒りはどうしたら?(^^;)
 いや、本来なら私もヒロインに癒されるべきなんでしょうけど、そうはならず──本気で憎たらしいと思っていた私の気持ちの行き場は? しかも、「ああ、まあしょうがない、これで我慢してやるか(・ω・`)」みたいになったのに、さらにダメ押し!
 工エエェェ(´д`)ェェエエ工工 ← まさにこんな気分と顔になった……orz
 ヒロインの道徳観とか倫理観は、高潔であるし正論でもあるとわかってはいるものの、どうも「同情はできても実感が伴わない甘ちゃん」のように思えてならなかったのですが、ラストの方で作者もそのように描いていたとうかがわせる箇所があり、ますます私は救われず(^^;)。
 ヒーローの憎しみがヒロインの愛によって浄化されていく様子がとてもじっくり丁寧に描かれているので、決して悪い作品ではないのですが、私にはカタルシスが足りなかった。せめてもう少しトリッキーな──ひねりや皮肉のきいたラストであったらなあ。
(★★★)

最終更新日 : -0001-11-30

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