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2010 · 07 · 16 (Fri) 16:08

□『インセプション』

『インセプション』“Inception”2010(7/15試写会 7/23公開)
 コブは人の夢から潜在意識に侵入し、頭の中の「アイデア」を盗み出すスペシャリスト。だが、その才能故に愛する存在を失い、逃亡生活を余儀なくされていた。だが、自分の罪を消すと約束した実業家サイトーの依頼に、コブは未来の可能性を見出す。それは、彼でも困難で危険な任務だった。(監督・脚本:クリストファー・ノーラン 出演:レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙、ジョゼフ・ゴードン=レヴィット、マリオン・コティヤール、エレン・ペイジ、トム・ハーディー他)

 昔聞いた話で、真偽のほどは定かではないのですが──ルイス・ブニュエル監督の『昼顔』(大好きな映画です)がテレビ放送された時、現実と区別がつけにくい夢の場面に、

「これは夢のシーンです」

 と局側がテロップを出した、という──工エエェェ(´д`)ェェエエ工工 な話ですが、そのテレビ局というのは東京12チャンネル、今のテレビ東京らしいので、ちょっと信憑性がある(「テレビ東京伝説」)。
『インセプション』をテレビ放送する時は、いくらなんでもそんなことはしないでしょうが した! したよ、テレビ朝日!2012年6月11日の私のつぶやき
 ……。
「テロップ欲しい」という人ももしかしているかもしれない、というくらい夢と現(うつつ)が交差するお話です。
 ブニュエルの場合は妄想、悪夢を好んで取り上げていたようですし、「夢」を単純な印象で言えば、脈絡や秩序のないもの、奔放で気まぐれのように思えます。でも、この作品の潜在意識──「夢」は違う。「見ている人が現実と見紛う夢を見せる」というのが、主人公コブの仕事です。
 精神的なコン・ゲーム(信用詐欺)のようなものか、と思いました。コン・ゲームの被害者は、自分がだまされているとは思わず、要求されたものを自ら渡したり、手放したりします。コブの手にかかった被害者は、自分から何が盗まれたのかもわからないままかもしれない。でも企業のトップクラスの人間は、そういう犯罪から身を守るために訓練を受けている(公開前なので、反転しときます)、というのが面白いし、とってもワクワクする。
 犯罪自体はとてもシステマティックで、コブも実は一人では行動しない。夢を現実と思わせる世界の設計士や、夢を共有するための睡眠薬を調合する者、夢の中で顔形を変えターゲットと接触する者などあらかじめ役が決められていて、計画通りに進めないと彼ら自身が現実に戻れない可能性もある。
 私はまた、てっきりディカプリオに超能力があってぇ、みたいなことを考えてたので、想定していた物語とはだいぶ違いました。前半は、説明にだいぶ時間を使っていた。見せ場は、予告編にもある街が裏返るシーン。思わず「重力ペンキ……」(反転)とつぶやく私(^^;)。
 前半でハマれれば多分大丈夫ですが、ここで「わけわからん」ってなったらつらいかもしれない。長いし、デートとかで気軽に見られる、という映画ではないとは思いますが、私は説明くささすら楽しく、大変気に入りました。無論ツッコミどころや難はあるものの、非常に知的で意欲的。映像を見る──つまり、設計された「夢」を見ることにも当たるので、大きい画面が望ましい。ぜひとも映画館で見てください。17日から先行公開もあるようです。

 ところで、渡辺謙は舞台挨拶に来ていたのですよ。生で初めて見た……。素敵だったです(*´ω`*)。この映画が欧米でもヒットして、「ああいうアジアンヒーローでロマンス書きたい!」とか思う作家はいないかなあ。
 ああ、そういえばクリストファー・ノーラン監督の『プレステージ』はヒュー・ジャックマン主演だった──。見てない……見なくちゃ!
(★★★★)
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最終更新日 : -0001-11-30

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