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2010 · 08 · 07 (Sat) 14:06

●『素晴らしきソフィー』ジョージェット・ヘイヤー

●『素晴らしきソフィー』ジョージェット・ヘイヤー(MIRA文庫)
 19世紀のロンドン。外交官の父親と海外を転々としながら育てられたソフィーが、伯母の家に預けられた。リブンホール家には、問題が山積。特に自分と同じ年頃の次女セシリアの結婚問題と、実質的な家長である長男チャールズの専制君主ぶりに注目したソフィーは、それらを解決すべく策を練り始める。("The Grand Sophy" by Georgette Heyer,1950)

“素晴らしきソフィー”というより、“策士ソフィー”
 ロマンス小説のヒロインにはあまりいないようなタイプです。悪く言えばおせっかいな仕切り屋さん。でも、KYな人ではありません。「あの人にまかせておけば安心だよね」と言われるタイプ。敵に回すと怖いけど、味方だと心強い。
 私は基本的にエネルギーの足りない人間なので、彼女のようにバイタリティあふれる人がうらやましいです。たまにウザいと思うこともあるんだろうけど、いろいろな意味でのよりどころとしてはほんとに頼もしい。若いけど、一族全体のお母さんというか、つまりはカリスマですね。
 ヒーローのチャールズも「首を絞めたい」と思うほど腹を立てたりしますが、結局はそれを認めざるを得ない。腹黒なんだけど、自分のことで策を巡らせないから、憎めないんだよね。
 そうなんだよ、腹黒なんだよ、ヒロインのくせに! 嘘泣きが得意とかねー、ヒロインとしてはありえないでしょう?
 でも私は、腹黒キャラが実は大好き(ヒーローだとさらに萌えるんだけど)。まえがきがキャサリン・コールターなんですが、多分彼女も腹黒キャラが好きなはず(勝手に決めつけ)。
 その腹黒策士のヒロインが、いとこたちの問題を次々と解決していくお話。今のロマンス小説みたいな情熱的な描写はないけれども、私としては萌えの塩梅がちょうどいい。
 この作品のあとがきにも触れられてましたが、ロマンスといえばやはり原点は『高慢と偏見』です。でも、私はあまり萌えなかった。なぜかなあ、と考えたんだけど、それは多分、ロマンスとしてのファンタジーが感じられなかったから。それって、まあ個人の解釈で申し訳ないのですが、私の言うロマンスのファンタジー、あるいは「萌え」というのはつまり、妄想というか、脳内でどれだけ補完できるかどうか、という余地なんだと思うのです。情熱的な描写はなくとも、この後の展開がどれだけめくるめくか! と思わせてくれるものがあるかないか、ということです。
 あとがきで、オースティンは“写実の泰斗……”と夏目漱石に言われていますが、やっぱり私にはリアル過ぎたんだなあ、と納得したりして。
 現代のロマンスは別の意味で書き過ぎだと感じることもあるので、好みの塩梅を見つけるのは難しいのだな、と改めて思うのでした。
(★★★★)

最終更新日 : -0001-11-30

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