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2010 · 08 · 20 (Fri) 21:46

●『過ちのキスは謎の香り』エリザベス・ボイル

●『過ちのキスは謎の香り』エリザベス・ボイル(オーロラブックス)
 9年前ミランダは、放蕩者として名高い公爵家の三男ジャックからの人違いのキスですべてを失った。彼は婚約破棄されたミランダに結婚を申し込むこともなく、彼女は両親によって田舎へ追いやられる。その後女学校の教師となり、今は元生徒たちのつきそいで旅をしていた。そして、嵐の末にたどりついたのは、憎きジャックが住む屋敷で──。("This Rake Of Mine" by Elizabeth Boyle,2005)

 面白かったんですが、前作『理想の妻のたくらみは』と比べるとやや話がごちゃごちゃしています。
 スパイものなので、ちょっとサスペンスっぽいのかな、と思ったのですが、どうもそういう感じにはならず。前作でどうしようもない放蕩者だったヒーローが、海峡近くのオンボロ屋敷で今は真面目に英国諜報員の橋渡し役をしています。改心のきっかけは、ヒロインとのこともあったらしい。
 実はヒロインは知らなかったのですが、彼女は醜聞に怒り狂った父親のため、存在を抹殺されていたのです(ひどい、ひどすぎる父親! お母さんもかわいそう(T_T))。本人は田舎に追いやられただけだと思っていたのですが、実は葬儀まで執り行われ、死の原因を作ったとヒーローは世間や家族や友人たちからも非難され、すっかり落ちぶれている。そして、彼はヒロインがその死んだ令嬢だとは気づいていない。酔っぱらっていたから、顔を憶えていないのです。憶えているのは、キスのことだけ。
 これは中盤くらいで種明かしされて、その時は「おっ」と驚いたのですが──読み終わってみると、最後までひっぱってもよかったんじゃないか、と思いました。ヒロインは自分が生きていると思っているから、彼が「死んだ」というのも自分の醜聞を美談にしたいだけ、としか取らない。つんけんするヒロイン、死んだ令嬢を忘れられないのに、ヒロインにも強く惹かれるヒーロー──。なかなか面白いすれ違いだと思うんだけど、そうならなくて残念(・ω・`)。
 作者は“ページターナー”と言われているだけあって、ページを繰らせる筆力は確かにある。けど、この作品は少しとっちらかってしまっていたかなあ。ロマンス色が薄めの印象だし、生徒の三人娘もちとうるさい。あっ、あと前作のキャラのその後もちょっと知りたかったなあ。みんなちょっとっつ足りない……orz
 面白いんだけど、ほんと惜しい。
(★★★☆)

最終更新日 : -0001-11-30

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