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2010 · 09 · 03 (Fri) 18:55

◆『献身』ヴァイオレット・ウィンズピア

◆『献身』ヴァイオレット・ウィンズピア(ハーレクイン文庫)
 元見習い看護婦のマーリンは、かつて憧れていた外科医ポールが住む南の島に降り立つ。彼は、マーリンが手渡した点眼液のせいで視力を失い、彼女も査問委員会から責められる。その後、彼が著作をまとめるための秘書を探していると聞き、マーリンは名前を偽り応募した。("The Passionate Sinner" by Violet Winspear,1977)

「今月の究極」と帯に。名作と言われている作品。前から読んでみたいと思っていたので、文庫の新刊で購入しました。
 盲目のヒーローにひたすら尽くし続けるヒロイン。最初は身元がバレないように年配の女性を装ったりしていましたが、若いとバレてからは今度は真犯人である正看護師だと勘違いされて、彼からいたぶられます。
 事件の真相自体は結局わからないのですが、ヒーロー自身は袖にした正看護師の恨みが原因だと確信しているところにちょっとホッとする。いや、何の解決にもなってないけど、ヒロインには少しも疑いを持っていない、ということだったのはよかった。そのせいでかなりヒロインはいたぶられるんだけど、言い訳はしない。言っても信じてもらえないと思う説得力はあるので、仕方ない(えー(´д`;))。
 私は登場人物たちが真相を語らない状況にイライラするたちですが、語ることができない理由に納得できれば大好物に転じます(かわいさ余って憎さ百倍の逆?)。この作品はまさにそれで、特にヒーローの造詣がよかったと思う。自分の身にふりかかった理不尽な悪意と失望、それに対するどす黒い恨みとヒロインに対する秘めた激情。持て余しながらも何とか抑えようとする彼に、目が見えた頃どんな人間だったかも垣間見えてくる。
 ヒロインはひたすら優しく純粋で、邦題どおりの献身ぶり。ヒーローが複雑な分、シンプルな女性です。いい対比だと思います。
 なかなか精神的にも身体的にも(ヒロインが殴られたりはしません)痛いお話ではあるし、最初から最後まで緊張感もあるのですが、短いながらも読み応えのある作品でした。
(★★★★)

最終更新日 : -0001-11-30

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