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◆『切ないほどに求めても』ペニー・ジョーダン

◆『切ないほどに求めても』ペニー・ジョーダン(ハーレクイン)
 若くして夫リチャードを亡くしたポリーは、夫と従兄マーカスが祖父から相続した屋敷を改造したホテルの支配人をしている。マーカスとは顔を合わせれば口論ばかりで、優しい言葉などかけてもらったこともない。しかも彼は、長年住んでいるこの屋敷から出ていくと言う。いつの間にか彼を愛していたポリーにとって、それは何よりつらいことだった。("The Ultimate Surrender" by Penny Jordan,2000)



 かなり泣けました。ヒーロー、19年に及ぶ忍ぶ恋。ヒロインの気持ちも知らず、すれ違い。
 これを読んで、欧米ヒーローのヘタレというのはこういうのか! と思ったんですが。
 ヒーロー、口を開けばきつい言葉を言ってしまい、後悔しながらもやめられない。19年間、好きな子をいじめ続ける小学生状態ですよ。そのくせ、具合が悪い時にヒロインが好んで食べるものとかちゃんとわかってたりする。どうやら近づく男を排除していた気配もあり。そうやって、ただひたすら彼女(と娘)を見守り、愛し続け、悶々とした日々を19年。
 見上げた我慢強さだけど、私ならとても耐えられない。私がヒーローだったら、夫が死んだのちしかるべき時点で取る行動は二つ。

 1.逃げられないように優しく腹黒く囲い込む。
 2.真っ正面から捨て身で告白する。


 欧米ヒーローには、あんまり腹黒い人っていないよね。ていうか、これは私の印象だけですが。契約結婚とか、そういうのは腹黒いうちには入らない気がするんだよね。それに、優しさや下手(したて)に出ることを武器にする人もあまりいない(いや、つまりそれが「腹黒い」ってことなんですが)。ダークなヒーローという設定ならありえるかもしれないけど、この作品のようにいじめまくる小学生になる可能性の方が高い。基本的にいくら傲慢であっても「手段を選ばない」ってほどの黒さはないんだよ。
 かといって「2」の方を選ぶ人もあまりいない(「話が終わっちゃうから」というツッコミはなしで(^^;))。捨て身になる=自分の弱さをさらけ出すことに抵抗を感じるのは欧米人に刷り込まれていることなんでしょうかね……。基本的に日本人ってそういうことへの抵抗感は少ない方でしょう? 私にはそういうヘタレな日本男児はツボですよ。ヘタレだからこその捨て身が、逆に効果的だったり強みだったりする。
 そう考えていくと、彼らは「捨て身になる勇気もない」わけで──告白してフラれる、という状態は、彼女との仲が終わってしまった悲しみとプライドが傷ついた挫折感を同時に乗り越えなくてはならない、ということなんだね。最初からプライドがなければ乗り越えるものは一つだけだけど、自らハードルを上げている(^^;)。どっちの方が高いんだろう。いや、どっちが高くても何でも、それは想像でしょ!? やってみなくちゃわかんないじゃない!? やった後悔よりやらなかった後悔の方を引きずるのは、万国共通でしょ?
 つまりこれが、欧米人型のヘタレなのか──! 日本人の私は、今まで逃げてしまうくらいしょーもないプライドが高い奴には「臆病」と称してましたが……。
 けど、これだとハーレのヒーローはほとんどヘタレな奴になってしまうんだよね(^^;)。鬼畜傲慢な奴は多分もれなく。かっこいいはずのヒーローが、みんなヘタレ!?
 いや、別にそういうことを定義づけしたいわけではないんですが。個人的に考えてて楽しいってだけです(日本人型のヘタレと比べると、萌えも少ないし)。けどまあ、好きな人にメロメロな男なんて、みんなヘタレなのかもしれないよね……。想いが通じたら、周りにちょっとみっともないと思われたって幸せだから全然気にしないし。
 この作品のヒーローも、人が変わったようにデレデレしっ放しだったなあ。愛はちゃんと自覚していたので、小学生だったと思えば暴言もさほど腹は立たず。
 とはいえ19年……orz もちろんヒロインにもだけど、曲がりなりにもヒーローなんだから、もうちょっと勇気というか、「3.フラれてもあきらめない」くらいの打たれ強さがあってもよかったと思うのよねー(´ω`;)。
(★★★★)
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theme : ブックレビュー
genre : 小説・文学

tag : コンテンポラリー ハーレクイン(文庫含む) ★★★★

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    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
    評価は★★★★★が満点、★★★が標準点クリア。
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