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2010 · 11 · 10 (Wed) 07:01

●『これからずっと』キャンディス・ハーン

●『これからずっと』キャンディス・ハーン(二見文庫)
 突然の雨で避難した宿で、元海軍大佐サム・ペローは初恋の相手であるハートフォード公爵夫人ウィルヘルミナと10年ぶりに再会する。十代の頃、二人は結婚を約束したが、過酷な運命の末、別れ別れになる。今は互いに連れ合いを亡くした身であり、偶然に会ったこの宿で旧交を温めようとサムは思うが──。("From This Moment On" by Candice Hern,2008)
・アンソロジー『めぐり逢う四季(きせつ)』"It Happend One Night"
・〈陽気な未亡人〉シリーズスピンオフ

『戯れの恋におちて』のスピンオフ(読んでいないのですが)
 二人ともかなり過酷な人生を送って四十路を迎えています。
 ヒーローは漁師だったのですが、海軍の強制徴募隊に捕まり、むりやり戦争に連れていかれてしまう。でも、田舎の村では船から落ちて死んでしまったことになってしまい、ヒロインは失意と彼の子供を死産したショックから、彼女をモデルにしたがった画家の愛人になって、田舎を出ていってしまう。
 彼女は、そのまま高級娼婦になり、その噂を聞きつけた彼と悲しい再会を果たします。そのあとも苦い再会をくり返す。
 ロマンスと思うと、この設定は重いと感じるのですが、『ひまわり』とか『シェルブールの雨傘』とか、戦争をテーマにした恋愛映画や小説などではよくあるシチュエーション。高級娼婦、という言葉が刺激的だけど、つまりは「プロの愛人」ですから──生きるために何を売るかの選択肢がなければ、ということになります。
 とはいえ二人の過去は重すぎる。というか、盛りだくさんすぎる。説明がすごく多くなってしまっています。他の三作が再会した二人の「今」を切り取って成功している分、ちょっとこれは読みにくい。二人がこれから一緒に生きていくにしても、過去を持ち出さず、ちゃんと乗り越えられるのかどうかの希望があるのかないのか、いまいち確信できずモヤモヤ。悪くはないんですが……。
 作品の並び順もこれでよかったのかな(^^;)。
 それから、四季をそれぞれ割り当てているって言ってたけど、5月を前面に出しているメアリ・バログの作品以外、季節感というものはほとんど感じられなかったなあ。この作品は10月なんだけど、秋らしさは……わからない。イギリスの気候を私がよく知らないというのもありますが(^^;)。
(★★★)

最終更新日 : -0001-11-30

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