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2010 · 11 · 18 (Thu) 07:17

◆『運命がほほえむ日』リンゼイ・アームストロング

◆『運命がほほえむ日』リンゼイ・アームストロング(ハーレクイン)
 通訳サービス会社に勤めるアレックスは、急病になった中国語の通訳の代わりを突然頼まれた。スキー旅行から帰ったばかりの姿で依頼人マックスの元へ向かうと、仕事時だけでなく、社交の場でも通訳を頼みたい、そのためには、もっと洗練したかっこうをしてほしいと言われる。("The Billionaire Boss's Innocent Bride" by Lindsay Armstrong,2008)

 あらすじだけだと、ダサいヒロインにケチをつけて変身させる金持ちヒーロー、という図式が見えますが、実際には違う。
 ヒロインはまだ大学を卒業したばかりで若く、内勤だったので、あまり身なりに気を遣う必要がなかったという女性です。とはいえ、この面接時にメガネをはずした顔を見て、ヒーローは惚れたらしい。
 きちんとしたかっこうをすれば、とても美しい女性です。仕事をするうちにヒロインもヒーローに惹かれていくのですが、そこへヒーローも今まで知らなかった息子が現れる。元恋人の母親がどうしても彼に預けるしかなくて、連れてきたのです。
 通訳だったはずが、いつの間にか幼い息子のナニーになるヒロイン。やはり両親がそろっていた方が子供のためだろう、という雰囲気に自分の気持ちを押し殺す。
 ハーレクインをじっくり読んでいくと、実は甘々な話なんてそんなになかったり、ヒーローがマジでひどい奴だったり、ほんとにハッピーエンドなの? と疑う作品もありますが、これを読んで思ったのは、

「ヒーローとヒロインが(一時的だけど)真面目にお別れするものが、実は少ないんじゃないか」

 ということ。
 ヒーロー、ヒロインのことを愛しているけど、息子のためを思って元恋人との結婚を考え始め、それをきっぱりと告げる。自分の気持ちを予期せずとはいえ伝えていたにもかかわらず、彼女もそれを受け入れ、ちゃんとお別れをする。
 いや、もちろんこういうお別れがないとは言いませんが、何となく雰囲気的に愁嘆場というか修羅場というか──怒って飛び出して幾星霜とか、「君はまだ僕の妻だ」「えーっΣ(゚Д゚;)」みたいになっている記憶の方が強烈。でもこの作品では、まるで仕事の契約切れ時のような抑制漂うはっきりとしたお別れシーンだったので、かえってとても悲しかったです。
 そのあとの解決法というのは、特にヒネりもなく現実的なものですが、結局はヒロインが現れたことで、息子にとってかえってよい環境ができたのではないかなあ。子供には両親が、というのも正しい考え方だと思うけど、気持ちを偽って両親が結婚生活を続けることも子供を傷つけるだろうしね(一生知られないようにするのもしんどいしさ)。
 ヒーローが私の大好物「自分は彼女にふさわしくないのではないか(´・ω・`)」な人だったのもツボでしたよ(´∀`)。
(★★★★)

最終更新日 : -0001-11-30

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