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2011 · 01 · 10 (Mon) 21:24

●『家路を探す鳩のように』リンダ・フランシス・リー

●『家路を探す鳩のように』リンダ・フランシス・リー(扶桑社ロマンス)
 1891年、アフリカ。コンゴ自由国最大の港マタディを目指して、フィニアは列車に乗っていた。そこから船でアメリカのボストンへ行く。父を亡くした彼女は、19年間会っていない母の元へ帰るのだ。列車の中で友人が頼んだガイド、マシューと会ったフィニアは、その美しい顔に走る無惨な傷を見て、彼こそが噂に聞く“ムズング・キチャー・ムウェニエ・コヴ”であることを知る。("Dove's Way" by Linda Francis Lee,2000)
・〈ホーソーン兄弟三部作〉第1作

 冒頭部分にはいろいろなことが詰まっています。短いあらすじでは書き切れません。
 このあらすじの直後、列車は脱線し、救護隊が来るまで二人はジャングルで一夜を過ごします(怪我をして、まるで死にたがっているようなヒロインを励ましながら、というのはのちに明らかに)。二人はいったん別れ別れになりますが、ボストンで再会。ガチガチの上流階級の中でのはずれ者──ヒーローはスキャンダルにまみれた妻との死別によって、ヒロインは礼儀作法も知らない野蛮な存在として。
“ムズング・キチャー・ムウェニエ・コヴ”というのは、アフリカの言葉で「傷跡のある、いかれた白人」という意味です。ヒーロー自身も、ヒロインに負けず劣らず自暴自棄な状態でアフリカへ行ったとわかります。ここからあと500ページくらいあるのに、なかなかの情報量です(^^;)。
 ヒロインは母に認められるため、ヒーローに礼儀作法のマナーを教えてもらおうとする。よくあるレッスンものなのかしら、と思うと、全然違います。二人ともかなりハードでヘヴィな過去があり、ヒーローの娘も心が傷ついています。この三人による家族再生の物語。
 前半は二人が結婚するまで、後半は娘も入れての新婚生活の始まり、という構成になっていて、読み応えたっぷりです。過去がかなり重い割に、そんなに暗くならないのは、やっぱりヒロインのおかげかな? 根拠のない堅苦しい礼儀や体面ばかりを重んじる社交界と真逆な、現代女性に近いヒロインをヒストリカルに出すためのアフリカ育ちという設定なんでしょうが、そういう女性がその当時本当はどんな人なのか、よほど歴史にくわしくないとわかんないもんね(^^;)。うまい逃げ……ゲフンゲフン、設定が思いついたものです。
 ちょっと笑ったのは、ヒロインとヒーローのレッスンの時の会話。

「まず第一に、腕はぶらぶらさせずに脇につける」
「わたし、腕をぶらぶらさせているの?」


 無意識!? まやや(by『海月姫』)かよ! と突っ込んでいたのですが、家族に話をしたら、「力石徹?」と言われてしまった。ぶらぶらって、そっち……?(´д`;)
 まあ、そんな感じ(?)の妙に明るい雰囲気があります。長いですけど、つらくならない読み口。
 もっと感動作になってもいい作品ではないか、とも思うんですけど、そうなると重すぎる気がするし……このくらいがロマンスとしてはちょうどいいのかもしれません。
(★★★★)

最終更新日 : -0001-11-30

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