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2011 · 02 · 08 (Tue) 15:22

▲『Mr.ダーシーに恋して』グウィン・クレディ

▲『Mr.ダーシーに恋して』グウィン・クレディ(二見文庫)
 その日、鳥類学者のフリップが訪れたのは、好きな本の世界を体験できるという怪しいマッサージサロン。彼女が選んだ本は『高慢と偏見』だった。ヒーローのダーシーと出会い、つかの間の情熱を楽しんだのはいいが、目覚めると本の中身が変わっている!? フリップは『高慢と偏見』の研究者マグナスとともに、再びサロンを訪れる。("Seducing Mr.Darcy" by Gwyn Cready,2010)

 見かけるたびに「どうしよう」と思っていた本でした。
 そこにいやな予感が含まれていたことも否めません。でもでも、気になるなら読むべきだ! という声にも抵抗しきれなかったのですよー(´ω`;)。けどまあ、予想どおりというか──いやな予感は見事に的中。
 小説や映画に限らず、「物語の中に現実の人間が入りこむ」というのは、ファンタジーとしては定番のお話。これは『高慢と偏見』という既存(版権が切れた)の作品の中ですが、そこら辺にこだわらなければ、最高峰はミヒャエル・エンデの『はてしない物語』なんじゃないかと思います。異世界トリップ&メタフィクションという感じですかね。
 はっきり言って、書くのはものすごく難しいジャンルです。どう難しいかを細かく語っても仕方ないですけど、まずはとにかく現実と物語の世界が両方とも面白くなければ全部ダメになる、という大いなる危険をはらんだジャンルってことは確かです。
 RITA賞獲ってるから、そこは平気なんじゃないか、という私の淡い期待は裏切られ──現実の世界の方はまあまあ面白かったけど、物語の中に入るととたんにガッタガタになっていく悲しさ……orz 何でよ? おかしくない? だって『高慢と偏見』なのに! アリモノ使ってるのに!(これは私が『高慢と偏見』がお気に入りでない、というのとは関係ないはず)
 そもそも最初に、どうしてヒロインはリジーにならなかったのか──そこからがわからん(´д`;)!
『高慢と偏見』の世界に入って、ダーシーといちゃつきたいなら、ヒロインのリジーになれよ! 何で出てこないキャラになってんの!?
 一応理由はあるみたいだけど、それ全然説得力ないから! それに、ヒロインの元夫とガールフレンドが出てくる必要もないでしょ? 何かの伏線なのか、と思ったら、出てきてドタバタしてそれだけって(-"-;)。←だんだん怒ってきた
 リジーに入ったヒロインがいろいろ本の中を変えちゃったから、今度はヒーローもダーシーになって一緒に修正する──で充分だと思うんですが? 無理にややこしく派手にして、しかもそれをまとめるだけの伏線も力業もなしとなると、読んでて疲れるというか、空しささえ感じる……(´-ω-`)。しかも、修正するすると言いながら、結局二人がやったことは一つだけだとぅ!
『高慢と偏見とゾンビ』の方が、よほど潔いです(^^;)。
 他にもいろいろ不満はあるのですが、この辺にしておきます。ヒロインがぐずぐず焦らして話を展開させるのではなく、もう少し物語的な仕掛けをお勉強してくれ。
(★☆)
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最終更新日 : -0001-11-30

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2011-02-08-22:13

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なぜ『高慢と偏見』なのか

 コメントありがとうございます。
 私が思うに、前年に『高慢と偏見とゾンビ』が出て受けた、というのが一番の理由ではないかと。二匹目のどじょうというか、『高慢と偏見』の七光りというか……。
 RITA賞、大丈夫なのか(^^;)。いや、そんなにはあてにしていないんですけどね。
『説得』、今度読んでみますね~。
2011-02-09-07:22

三原白 http://miharashiro.blog5.fc2.com/URL [ 返信 * 編集 ]