◆『潮騒』シャーロット・ラム

　最初の方はそんなふうに書かれてはいないのですが──何と、知らない間に記憶喪失三連チャン（いや、『囚われの妻』の影は薄いけど(^^;)）。
『もう一度あなたと』がかなり強烈だったせいか、こちらはずいぶんと静かな印象です。でも、ヒーローの自己チュー度は負けていません。『もう一度あなたと』ほどひどい男ではないですが。
　まだ若かったヒロインと、天才ピアニストとしての英才教育によって歪んでしまったヒーローのすれちがいの物語。今まで人と深い関わりを持とうとしなかったヒーローが、ヒロインに出会って価値観が覆ってしまい、感情についていけなくてもがき苦しむ。
　とはいえ、冒頭から傲慢そのもので、途中までそのやり方を通そうとする。それしかやり方を知らない不器用な奴ですが、ちょっとムカつきます。でもその後、ヒロインにこっぴどく反撃されて、猛省します。ていうか、猛省してから来いや(ﾟДﾟ)ｺﾞﾙｧ!! とも思いましたが、迎えに行こうと思ったんだから、まあ許してやるか。
　猛省しても受け入れてもらえず、ボロボロになったヒーローに萌えるので、それがもうちょっと長かったらうれしかったなあ。
（★★★☆）