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2011 · 04 · 15 (Fri) 08:33

◆『その結婚、待って!』トレイシー・シンクレア

◆『その結婚、待って!』トレイシー・シンクレア(ハーレクイン)
 母から妹ミンディの結婚話を聞かされたチェルシーは、すぐスペインへ飛んだ。妹はまだ19歳だ。しかも式は2週間後──なぜそんなに急いで結婚するのだろう? それに、婚約者のロベルトと妹は何だかよそよそしい。二人とも何か隠しているようだが、頑として口を割らない。("If The Truth Be Told" by Tracy Sinclair,1992)

『ハーレクイン・リクエスト 地中海の恋人』の一編。
 何だかちょっと不自然なことが多すぎるように感じました。
 妹は実は、ヒーロー弟とつきあっていて、妊娠しているんですが、弟が姿を消してしまい、その責任を取るためにヒーローと結婚となったわけです。
 話を不自然にしているのは、この妹のキャラのような気がする。プロットどおりに進めるためのキャラでしかなくなっているんだよね。
 まず、妹がこの結婚に対してどう思っているのかがよくわからない。仕方ないと納得している、あるいはあきらめているのなら、どうして絶対にうるさく騒ぐとわかっている母親に連絡をしたのか? 助けを呼んだとしか思えないよね? でも、実際に姉であるヒロインが来ても、真相は語らない。単に誰かにそばにいてほしかっただけかもしれないけど、あとで理由がわかると何だか何も言わないのが不自然に感じるんだよね。誰かに聞いてもらいたいと思う方が自然じゃないかなあ。
 それからヒーローも、失踪した弟(実は昏睡状態でずっと入院)の捜索をそんなおざなりにすますって──ひどい(´д`;)。私ですら事情を聞いた時に「事故かも」と思ったくらいですよ。普通はまずそこからじゃない? 適当に探して、すぐに「逃げた」って結論出すなんて──まあ、現実にはありえることだけど(^^;)、物語として見ると穴にしかならない。ヒーローの言うことだけ聞いて、自分で動かない、あるいは疑問に思わない他の家族(妹も含めて)もダメダメ。
 ちゃんと探したけど見つからなかったということにしてもそんなに無理じゃないのに、どうしてそうしなかったのかなあ。妹とのロマンスなら、ヒーローが「どうしても結婚したい!」ってなるからそういう矛盾はわかるけど、ヒロインは姉だし(途中で変更したのかな?)。メンツの問題だけだとしたら、ヒーローの気持ちもわからないよ。結婚にこだわってるのは彼だけなんだもん。何か他にも結婚しなくちゃならない理由がなきゃ変だよ。
 ううむ……これはつまり、破綻している箇所が多すぎるってことで──妹だけでなく、キャラ全部が不自然になっちゃってるんだね(-ω-;)。こういうお話は、読んでいてグラグラしっぱなしで、ちょっと悪酔いみたいな気分になります。
(★☆)

最終更新日 : -0001-11-30

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