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2011 · 05 · 13 (Fri) 13:52

◆『ずっとあなたが』スーザン・ウィッグス

◆『ずっとあなたが』スーザン・ウィッグス(ライムブックス)
 シアトルに住むグラフィックデザイナーのミシェルは、16歳の息子を持つシングルマザー。父は元ハリウッドスターで、現在は腎臓病を患っている。ミシェルは父への生体腎移植のため、モンタナへ向かう。そこでもう二度と会うことはないと思っていた息子の父親サムと再会する。("The You I Never Knew" by Susan Wiggs,2001)

 長いです。615ページの大作。すらすら読めますけど。
 すらすらの割には、全体的にじれじれとかイライラとかもやもやとか──そういう感情に支配され続けていました。いい意味で。
 なんか矛盾した言い方ですが(´ω`;)、本当にいい意味で、です。ひとことで言ってしまうと、非常に現実的な話なのです。ロマンスとしてのファンタジーは薄い。18歳の時からいなくなっちゃったヒーローとの間にできた子供を育てて、やむない事情で交流がほぼない父親の元を訪れたら、その町にヒーローが住んでて、さあどうする? という奇を衒ったところのないお話なんだからね。
 気になったのは、子供ができたことを言わなかったからって怒るヒーローです。ロマンスの男って、なぜ怒るのが多いの? 気持ちはわかるけど、状況から見てお互い様だと思うし、どっちにしろ過去は取り戻せない。後半ヒロインが「彼を非難しないようにしていた」みたいな文章があったけど、どうしてそういう気遣いをヒーローはしないのかしら。しないのなら、

「何自分だけちゃっかり夢叶えとんねん(゚Д゚)!」(何となく関西弁)

 と、ヒロインがキレたっていいのに、と思ったり。「非難しないように」ってそういうことじゃないの? でも、それは大人として言っちゃいけないことだし、子供のことは何にも代えられないしさ。
 ヒーローヒロインともに家庭に問題があって単純な人でない、というのがこの物語の肝なのですが、そこら辺をとても丁寧に描いていて読み応えがあります。生体腎移植がクライマックスじゃないところも好ましい。それはそれで大きなことであるんだけど、それだけじゃ解決しない。思春期の息子のことも大きな問題だし。
 そういう問題やささいな言葉の間を行きつ戻りつする感情の描き方が現実的で、実はラストから始まる物語でもある。家族再生への第一歩を踏み出したばかりの人たちのお話なのです。人生は続いていくんだなあ。
 ロマンスの夢やときめきを求めるとちょっと違うし、精神的に疲れている時に読むのはしんどいかもしれませんが、しっかりした人間ドラマを読みたい時にはいいかもしれません。
(★★★★)

最終更新日 : -0001-11-30

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