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2011 · 05 · 17 (Tue) 13:11

●『灼けつく愛のめざめ』シェリー・トマス

●『灼けつく愛のめざめ』シェリー・トマス(二見文庫)
 1897年、夏。インド北西部の辺境地で医師として働いているブライオニーの前に、三年前まで夫だったレオが現れる。父が危篤と知らされ、彼女はレオとイギリスへ戻る旅に出る。帰途の間、二人は一年ほどの短い結婚生活を否応なく思い出すことになるが──。("Not Quite A Husband" by Sherry Thomas,2009)

 ラスト近くになって、『誘惑の晩餐』のスピンオフ作品だとわかりました。読んでなくてもまったく無問題ですけど(読んでいるとちょっとうれしいけど)。
 シェリー・トマスは元サヤものが好きなのかしら。『もう一度恋をしたくて』はまだ読んでいないんですが、あらすじやタイトルからして元サヤものだし、『誘惑の晩餐』もそう。元サヤもの好きな方は要チェックですよ!
 とはいえ、軽めのものではないです。ロマンスとしての甘さはほとんどない(同じシュガーレスでもキャサリン・コールターとはずいぶん違うけど)。でもよくよく考えてみると、単にリアルなだけだよね……。基本的には、二人が本音を話し合わなかったというのが、結婚破綻の一番の理由なのです。婚約前、あるいは婚約中にどちらかの気持ちを何とか相手に伝えられていれば、何の問題もなく幸せな結婚ができたはず。
 それを孤独故の歪み(ヒロイン)、あるいは、若さと挫折のなさ故のおごり(ヒーローの方が年下)からか、二人ともあんまり大切なことと思わず、軽く見ていた。ヒーローの行動は、マリッジブルーだと思うのですよ。それを紛らすために最悪な選択をして、自分の気持ちに向き合わなかった罰を大きく受けてしまった(ここ、人によっては地雷か)。見た目の分の悪さはヒーローの方が大きいけど、ダメージはヒロインの方があったかも。いや、どっちもどっちか。
 ヒーローがかなり後悔と贖罪の気持ちを抱きます。当然のなりゆきなのですが、リアルなこういう気持ちは、結局ヒリヒリとした痛みも感じてしまう。本物の後悔は、たいてい取り返しのつかないことに抱くものだから、ヒロインが抱える心の傷と同等の悲しみを覚えてしまうのです。
 ロマンスというより、夫婦が一度失った信頼をどう回復させるか、という恋愛ドラマでした。こういうものを修復するって、ほんと難しいよねえ……(-ω-;)。失うのは一瞬──それを知った時の愕然としたヒーローに、ちょっと「いい気味」と思ったわ(´∀`;)。「バレなきゃいいや」と思うのは、やっぱ甘いってことだあね。
 そういう苦い道のりもすべて集約されているエピローグが感慨深い。ここから『カールじいさんの空飛ぶ家』が始まりそうですね。
(★★★★)

最終更新日 : -0001-11-30

Comments







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白さん鋭いっ

私は一冊目の「もう一度恋をしたくて」を読んだきり、二冊目以降を読んでいませんでした。

再会復縁ものは大好きなのですが、この人のは確かに、内容が軽くないんですよね。設定もちょっと重めかも。(^^;ゞ

でも、この作品は物凄く読んでみたくなったので、Amazonでチェックしてみます~v-354

でもなぜ「カールじいさん」?(^^;ゞ 読んでからのお楽しみですかね。



2011-05-17-14:47

りらっくまま URL [ 返信 ]

これからも元サヤものなのか

 りらっくまま様
 コメントありがとうございます。
『誘惑の晩餐』の方が重いかな、とは思うのですが、これも個人差ありそうです。カールじいさんは──読んだ時のお楽しみで(^^;)。
『もう一度恋をしたくて』は近いうちに読んでみます。なんだかんだ言われつつ、この人の本は評判いいんですよねー。
2011-05-17-16:44

三原白 http://miharashiro.blog5.fc2.com/URL [ 返信 * 編集 ]