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2011 · 11 · 12 (Sat) 19:42

●『はじめての愛を知るとき』ジェニファー・アシュリー

●『はじめての愛を知るとき』ジェニファー・アシュリー(二見文庫)
 1881年、ロンドン。裕福な相続人である未亡人のベスは、歌劇場で見知らぬ男性からいきなりプロポーズされ、婚約者の悪い情報をもたらされる。その男性の名はイアン・マッケンジー。公爵家の四男で、変人と噂されている人物だったが、ベスは彼からの情報を信じ、婚約を破棄する。その後パリへ旅立った彼女を追ってイアンもやってくるが、彼はスコットランドヤードの警部補に追われる立場だった。("The Madness Of Lord Ian Mackenzie" by Jennifer Ashley, 2009)
・〈マッケンジー兄弟四部作〉第1作

 ヒーローは「変人」と作中で言われていますが、それは公爵家の四男であるからこその呼び名です。
 彼は、今の時代ではおそらく「広汎性発達障害」と言われる人であろうと──知能指数は「天才」と呼べるほど高いけど、コミュニケーション能力がうまく機能しないタイプと思われます。
 この時代でこのような状況では、経済的にも社会的にも恵まれていた彼ですら親の理解がなく、施設で“治療”という名の虐待を受けるしかない。(問題ある父親だったとはいえ)
 公爵家の子供でなかった他の人たちのことを思うと、心が痛いです。今の時代でも生きにくいというのに……(´・ω・`)。
 父親によって施設に閉じ込められた弟を、長男が公爵位を引き継いだ時点で取り戻し、一見マッケンジー兄弟は平穏に暮らしています。しかし、兄弟それぞれに強烈な個性や問題がある。
 私の見立てでは、一番強烈なのは長男だ(´∀`;)。充分大変な四男の話を読んだあとでも言う。ラスボスは長男。実際に(訳者あとがきによれば)シリーズの大ラスは長男のハートです。ハート様、と呼びたくなるけど、それだと弱そうだからダメです。(いや、気にしないでorz)
 何しろ、本物の変態……ゲフンゲフン。
 作者、なかなかのチャレンジャーです。真ん中にはさまれた二人も画家と馬オタク。どんなふうに描くのか、ちょっと楽しみ。

 話ズレました。
 この作品のヒーローは、コミュニケーション能力に元々問題があり、なおかつ過去のトラウマに縛られているせいで、「自分は人を愛せない」と思っている。本気で「愛がわからない」人なのです。
 彼はヒロインのことが大好きで、ずっとそばにいてほしい、一生一緒にいたい、と直球で思っているから、いきなり「結婚しよう」とか言うのですが、彼女は未亡人で、前の夫ととても愛し合っていたことも知っている。なので「そんなふうに愛せない」とも思っているし、嘘がつけないから言ってしまう。そしてそれは、自分がヒロインから亡夫のように愛してもらえないことだとも思っている。
 ヒロインは「君を愛することができない」と言われてもちろん傷つくんだけれども、次第に彼とどう接すればいいのかわかってきて、ヒーロー(と兄弟たち)があきらめたり避けたりしていることを解決しようと試みる。今は裕福な貴婦人であっても、元は貧民街出身。強い人です。ラスボス長男にもひるみません。後半は過保護な夫をなだめすかし、

「お前らがグダグダしてたら、いつまでたっても解決しないだろ(゚Д゚)ゴルァ!!」

 とばかりに殺人事件の謎に挑みます。
 私自身が変な勘違いをしていたせいで、ここも楽しめました(情けない……orz)。
 ラスト近くでのヒーローの問いかけがかわいらしい。

「ぼくはきみを愛しているだろうか?」

「愛がわからない」と言われて、これほど納得したヒーローもいないと思います。
 そこらで「僕は愛がわからないんだ」と軽くほざいているヒーロー連中に読ませたい物語だな!ヽ(`ω´)ノ
(★★★★)

最終更新日 : 2017-02-08

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