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2012 · 01 · 25 (Wed) 18:51

●『愛を歌う小夜啼鳥のように』リンダ・フランシス・リー

●『愛を歌う小夜啼鳥(ナイチンゲール)のように』リンダ・フランシス・リー(扶桑社ロマンス)
 ボストンの名家ホーソーン家の末息子ルーカスが殺人の罪で起訴された。彼は紳士クラブ〈ナイチンゲールズ・ゲート〉を経営する悪名高き放蕩者で、被害者の娼婦はそのクラブの裏手で殺されていたのだ。勝ち目のない裁判と言われたが、新人弁護士アリスはルーカスの弁護を引き受ける。たとえ敏腕検事の父を敵に回すことになっても──。("Nightingale's Gate" by Linda Francis Lee, 2001)
・〈ホーソーン兄弟三部作〉第3作

 これまた597ページと長かったのですが、面白かったです。ロマンスであるとともに、19世紀末のアメリカ法廷ドラマであり、ミステリーでもあるという多様な力作です。
 三部作の最終作であり、どのような変わり者ヒロインを持ってくるかと思ったら、女性弁護士とは。一作目は生い立ち故に、二作目は天才故に、という変わり者ヒロインでしたが、今回は自分の意志でそうなったというか、それしか生きる道がなかったという人。
 弁護士とはいえ新人。しかも今までは検事の父親、警察署長の伯父に見守られていたので、ヒーローの弁護を引き受けたとたん、相談できる人が一人もいなくなります。なので、最初の方はささいな失敗を続けてしまう。
 これがまた私にもわかるようなことだったので、

「工エエェェ(´д`)ェェエエ工工」

 という気分になったのですが、そのうちわかってきた。彼女は、本当にぼっちなんだと。
 途中に二つほど、彼女のKYなエピソードが入っているんだけど、これがまたなんだか──心苦しい。なぜか私が「うっ」と胸を押さえてうずくまりたくなる( ;∀;)。
 何だかこのヒロイン、私に似ているんだよね(-ω-;)。好きなことに夢中になって失言しちゃうとか、自分のできる範囲以上のことを想像してウキウキしちゃうとか。特に「( ;´Д`)アチャー」と思ったのは、ほめられるとすぐに調子づくところ。
 家族以外にもほめられたいし、自分自身も受け入れてもらいたい。だから、そういうことしてくれる人に出会うと、アホな犬がウヒャウヒャ地面を蹴散らすように、自ら墓穴掘りまくりなのです……orz
 法律の話ができなくても、気の置けない友だちでもいれば少しはブレーキになるんでしょうが、ぼっちなので当然いない(´;ω;`)。ああ、こんなに胸が痛いのはなぜ……?
 リンダ・フランシス・リーはなかなか手練で、前半こういうチャチなミスを提示しながらヒロインの性格を印象づけ、後半は法廷での非情な舌戦で犯人をミスリードさせる。けっこう簡単なレッドヘリングだったのに、気づけなかった……。
 ここら辺が面白かったので、ヒーローの印象は多少薄めになりました……(´∀`;)。もっとすごい過去があるのかと思ってしまったよ。お父さんももっと強烈なのでは、とワクテカしちゃったよ(´・ω・`)。
 ヒロインが、

「あなた(ヒーロー)はわたしに似ているのよ」

 と言っていたけれども、そうなんだろうか……。人にも世界にも、なるべく期待しないようにしよう、と思いながら、希望が少しでも見えると期待せずにはいられない。そして自分も期待されないようにしよう、と思いながら、少しはほめられたいという気持ちも捨てられない。傷ついているなんて絶対に知られないようにしようとか──思ってるんすかね。
 けどこういう人間は、わかってくれる人が一人でもいれば、

「世間からどう見られていてもいーや(´ω`)」

 と楽になれるものです。
 でも、ヒーローには「ぼっち」より「孤独」という言葉の方が似合いそう。それがちょっとムカつく(#・∀・)。(まあ、ヒーローは見た目リア充だからな……(-_-;))

 三部作を読み終えて思うことは──どれも面白くて満足しました。
 変人ヒロインと、いろいろな意味で傷だらけなヒーローを読みたい方におすすめです。
 物語的にはこの最終作が一番かも。もう少し性的緊張感に抑制が効いていれば(わたし的には)完璧。上品なミステリーになりそうだし、チラ見せの方が萌えるんだよな~(´д`*)。
(★★★★)

最終更新日 : 2019-03-31

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