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●『囚われの愛ゆえに』アナ・キャンベル

●『囚われの愛ゆえに』アナ・キャンベル(二見文庫)
 1822年、ブリストル。夫に先立たれたばかりのグレースは、迎えに来ないいとこを探そうと男二人に道を尋ねたが、そのまま拉致されてしまう。いったいなぜ? どういうこと? 戸惑う彼女の前に現れたのはシーン侯爵マシュー。彼は叔父のジョン卿によって14歳から11年間、屋敷に閉じ込められていると言う。そしてグレースは彼の相手をするため、娼婦と勘違いされて連れてこられたのだ。("Untouched" by Anna Campbell, 2007)



 拉致監禁ものを得意とする(?)アナ・キャンベルの二作目。
 前作『罪深き愛のゆくえ』はストーカーヒーローでしたが、今回のヒーローは監禁されている。残忍で強欲な叔父が、彼の財産を好きに使うため、熱病にかかって発作を起こした際「狂人」ということにしてしまい、ずっと屋敷に閉じ込めています。いったい何の発作だかよくわからないのですが、医者も結託していたようなので、全部嘘の可能性もある。まだ十代で思春期、しかも親を亡くしたばかりであれば、情緒不安定で一時的に錯乱してもおかしくないしね。
 ここまで読んで、「こ、これは──!」と思ったら、やっぱり童貞でした(´ω`;)。
 ヒロインも未亡人とはいえ、大した差はない。16歳の時にだいぶ年上の夫と駆け落ちしてしまい、伯爵家から勘当されている。不幸で貧乏な結婚生活を9年間──これもまた、ある意味監禁と変わらないのかも。自分で選んだこととはいえ。
 童貞のヒーローとそれとほとんど変わらないヒロインが初エッチするまでの前半と、命がけで逃してもらったヒロインが彼を助けに来る後半、という構成ですが、うーん、なんかHOTシーンが多すぎて、ちょっと斜め読み気味になってしまったよ……。仕方ないとはいえ、もう少し心理描写に力を入れてもらいたかったなー。
 けど、難しいですよ、こういう話は。前半はほとんど二人しかいないし、絶えず緊張しているばかりだし。動きのある後半は何だか駆け足みたいな印象だ。後半のエピソードをもうちょっとふくらまして、前半を削ったり、削らないまでも少しほっとできるシーンを入れたりとかしてほしかったなあ。
 ヒロインが、「彼が私を愛していると言うのは、私しか女を知らないから」という気持ちから告白やプロポーズを拒否する部分もとてもわかるんだけど、切なさがいまいち伝わってこなかった。二人が離ればなれになっている間のこととか、もっと知りたいと思ってしまったよ。
 前作は気に入ったのですが、今回のは、ちともったいない(´-ω-`)。三作目も読む予定なので、そっちに期待します。
(★★☆)
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theme : ブックレビュー
genre : 小説・文学

tag : ヒストリカル 二見文庫 ★★☆

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    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
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