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2012 · 02 · 04 (Sat) 14:50

●『きらめく菫色の瞳』マデリン・ハンター

●『きらめく菫色の瞳』マデリン・ハンター(二見文庫)
 早くに両親を亡くしたアレクシアは、従兄ベンジャミンの家に身を寄せていた。が、戦争時の事故で彼は亡くなり、あとを継いだ弟ティモシーは銀行の経営に失敗して屋敷を追われ、アレクシアの面倒まで見ていられなくなる。手を差し伸べたのは、今回の悲劇を招いた張本人である侯爵家の次男ヘイデン。彼女にはそのまま屋敷にいてもらい、従妹の家庭教師をやってほしい、と言う。("The Rules Of Seduction" by Madeline Hunter, 2006)
・〈ロスウェル〉シリーズ第1作

 ヒーローといえば、たいてい小一時間説教したくなるような奴ばっかなんだけど、この作品のヒーローはなかなか報われなかったので、久しぶりに同情してしまった(´Д`;)。高潔でけなげで、涙ぐましいまでにヒロインの幸福を願う。それがたとえ、自分から離れて他の男の元へ行く可能性があるとしても。
 ヒロインが別に悪い子なわけではなく、自分をひきとってくれたいとこたち(男二人、女二人)に対して恩義と愛情を抱いているだけで、悪いのは男たちです。
 ヒーローはヒロインが心を寄せていたベンジャミンの友人で、戦争時の恩人でもあったので、彼の家族が最悪な状態にならないよう身銭を切り、細心の注意を払ってくれたのに、クズ男のティモシーがあることないことを女性陣に吹きこみ、彼女たちはヒーローを極悪人と信じこむ。
 それに対してヒーローはじっと黙って我慢する。聡明でとても現実的と称されるヒロインが辛辣に非難しても、カッとなって口を滑らせたりしない。それは、彼女の美しい思い出である従兄との初恋を汚したくないという気持ちもあるからなんだよね。
 優しい奴だ、ヘイデン(´Д⊂グスン……。
 例によって彼は、愛なんて気持ちに支配されたくない、と思っている男なんだけれども、ヒロインを前にすると「ロマンティックな愚か者」にしかなれない。ヒロインに憎まれている、と思いながらもそれに言い訳せず、静かに熱烈に愛するだけ。それだけでなく、

「僕は君がくれる愛にはふさわしくない」

 と謙遜まで(゚Д゚)!
 そこらのアホヒーローに爪の垢を煎じて飲ませてやりたいよね(-_-;)。ある意味不器用と言えるかもしれないけど、大人の優しさと思慮深さ、包容力のあるヒーローでした。
 それにしても諸悪の根源であるバカ兄弟には腹が立つ(-"-;)。ヒーローが大人であることが唯一恨めしい箇所でした。
(★★★★)

最終更新日 : -0001-11-30

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