01
1
2
3
5
6
7
8
9
10
11
12
16
17
18
19
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
   

●『その心にふれたくて』アナ・キャンベル

●『その心にふれたくて』アナ・キャンベル(二見文庫)
 強欲な継兄たちから監禁・暴力を受け続けていた伯爵令嬢カリスは、屋敷から脱走し、宿屋の厩に姿を隠していた。それを見つけたのは“国家の英雄”といわれるギデオン・トレヴィシック。三週間後に迫った誕生日まで逃げ切れれば、継兄たちが狙う財産はカリス一人のものになる。助けようとするギデオンを信用しきれないカリス。だが、彼もまた秘密を抱えていた。("Captive Of Sin" by Anna Campbell, 2009)



 ヒーロー、両想いだけどほとんど童貞の片想い状態で、悶えに悶えまくる。
 それは、インドでスパイ活動をしていた時に囚えられ、一年間拷問を受け続けたせい。それも、一緒につかまった仲間の死体を両手につながれたまま、という壮絶なもの。人に触ったり触られたりすると、その時のフラッシュバックが起こり、発作(吐き気や頭痛など)が起こる。
 いわゆるPTSD──心的外傷後ストレス障害状態ですね。
 だから、前半ヒロインに触りたくてたまらないんだけど、触れないという葛藤に苦悩しまくる。この状況はなかなか斬新でした。すぐに手を出す我慢のきかないヒーローがほとんどの中、「したくてもできない」というのが悲しいんだけど、誤解覚悟に言えば、ある意味滑稽でもあった。ヒロインを前にすると妄想が止まらないし、この文章には、思わず吹き出してしまった。

 ギデオンはごくりと唾を呑みこんで、刺激とはほど遠いことばを思いつくかぎり頭に並べていった。ハツカダイコン。カブ。キャベツ。ニンジン。
 いや、ニンジンはだめだ。


 本人が真剣なだけに、かわいそうと思いながらも笑ってしまったよ(´∀`;)。
 それから、ヒーローが自分のことをここまで卑下するのも珍しい。それもまたPTSDのせいで、自責感(自分一人だけ生き残ったこと)にかられ、“国家の英雄”と呼ばれることに耐えられないくらい恥を覚えてしまう。自分なんて生きている価値がない、もう自分の人生は終わっている、一生賭けてこの罪を償うしかない──それしか考えられないので、

「自分は彼女にふさわしくない!」

 ──と思いながらも、ヒロインを救うために結婚(見せかけ、という体で)しちゃうわけです。

「ごめんよ、ごめんよ、こんな男と結婚させちゃって! ほんっとにごめん!(´;ω;`)」

 いくらヒロインが「そんなことないって!(゚Д゚)」と言っても、「デモデモダッテ」状態。
 ヒロインがキレ、がんばって「エロい奥さん作戦」決行。見事成功するも、新婚旅行が終わったら、

「病気治ったわけじゃないから、やっぱ離れて暮らした方がいいと思う……(´・ω・`)」

 と言いだしたり。
 いろいろ大変ですが、とりあえず彼には理解があって粘り強い妻と、献身的に支えてくれる従者兼友だちがいる、という方が、ロマンス的なハッピーエンドよりも「よかったなあ」と思いました。そこら辺、おまけしたい。
 蛇足ですが、アナ・キャンベルには、初夜に(リアルに)失敗するカップルが多い気がする(いや、まだ二作しかないけど(^^;))。
(★★★★)
web拍手 by FC2

theme : ブックレビュー
genre : 小説・文学

tag : ヒストリカル 二見文庫 ★★★★

Secret

文字を大きく・小さく

    Twitter&ランキング



    いつもありがとうございます♪


    書評・レビュー ブログランキングへ

    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
    にほんブログ村

    最新記事

    カテゴリ

    ユーザータグリスト

    最新コメント

    最新トラックバック

    リンク

    RSSリンクの表示

    ブロとも申請フォーム

    この人とブロともになる

    メールフォーム

    名前:
    メール:
    件名:
    本文:

    検索フォーム

    English Translation

    English English得袋.com

    アンケート

    QRコード

    QRコード

    FC2カウンター

    カレンダーと月別アーカイブ

    プルダウン 降順 昇順 年別

    12月 | 2020年01月 | 02月
    - - - 1 2 3 4
    5 6 7 8 9 10 11
    12 13 14 15 16 17 18
    19 20 21 22 23 24 25
    26 27 28 29 30 31 -


    プロフィール

    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
    評価は★★★★★が満点、★★★が標準点クリア。
    ★★★★からがおすすめです。
    くわしい注意書きは→コチラ
    リクエストは→コチラ

    最近読まれている記事

    ブログパーツ

    最近の拍手ランキング

    人気の記事

    本ブログ村PVアクセス

    ユーザータグ

    ★★★☆ ロマンス映画 シリーズ 創元推理文庫 ロマンス以外 ★★★★ ラズベリーブックス ヒストリカル その他の出版社 ★★☆ 資料用 サスペンス/ミステリ ハーレクイン(文庫含む) コンテンポラリー ★★★★☆ MIRA文庫 ★★★ ライムブックス 扶桑社ロマンス 新潮文庫 角川文庫 ★★★★★ ハヤカワ文庫 マグノリアロマンス フローラブックス 集英社文庫 パラノーマル アンソロジー 二見文庫 ヴィレッジブックス ★★ ランダムハウス講談社 ★☆ ソフトバンク文庫 サンリオ 文春文庫 ラベンダーブックス ラベンダーブックス(幻冬舎) オーロラブックス(宙出版) 講談社文庫