Top Page › 読書の感想 › デボラ・シモンズ › ●『尼僧院から来た花嫁』デボラ・シモンズ

2012 · 05 · 18 (Fri) 23:13

●『尼僧院から来た花嫁』デボラ・シモンズ

●『尼僧院から来た花嫁』デボラ・シモンズ(ハーレクイン文庫)
 ベルブライの領主ニコラスは、復讐相手の死を自分の手で遂げられず、行き場をなくした憎しみを抱えて悶々としていた。そこへ国王からの使いが現れ、復讐相手の姪と結婚せよとの命令が下される。何とあいつの血を引く女がいたとは! これで復讐を遂げられる! ニコラスは尼僧院に預けられているその娘ジリアンを引き取りに行くが、彼女は彼が想像していたような娘ではなかった。("Maiden Bride" by Deborah Simmons, 1996)

 極端から極端に走る男、ニコラス。再読です。
 これほど感情や行動の起伏が激しいヒーローは珍しい。あ、いや、ダイアナ・パーマーのにもいたかもしれないけど、この人はもう周りからも笑われていそうです。
 前作『悪魔の花嫁』で復讐相手を義弟に殺されてしまったヒーローは、その姪であるヒロインに復讐する気満々で結婚して領地に連れ帰りますが、気が強く頭もよい彼女にペースを乱されっぱなし。
 しかも、自覚なしのメロメロなので、矛盾ありまくりの思考にまったく気づかない。
 例えば連れ帰ってきた夜、さっそく復讐(というかただの意地悪にしか見えないけど(^^;))しようといろいろと考える。

 端女のように寝台の床に寝かせるか?
  ↓
 しかしジリアンの肌はきめがこまかくなめらかだ。
 ごつごつした寝床では肌に傷がつくかもしれぬ。

 いや、復讐するなら最初のでいいんじゃね?(´∀`;) とツッコむ人はそばにいない。しかも、別の部屋に寝かすというのはイヤなんだよね。そばにいてほしいから。
 自分の矛盾した思考にイライラしながら、むりやり下した結論。

 あの雌狐にはふかふかの藁布団をあてがい、床に寝かせるとしよう。それならあざもできまい。だが、遠くへはやらない。おれの足もとで眠るのだ。フフフ。

 フフフじゃねえよっ(゚Д゚)!(本文ではこのように笑っていません(^^;))
 万事こんな調子(長くなるので省略)で、復讐しようといろいろ考えているうちになぜか大切にする方へ転がっていくのに本人気づかず。
 ヒロインも旦那の気持ちがわからないから、腹を立ててグーパンチを見舞ったりしています。
 バレバレなバカップルの派手なケンカを、周りの人たちは生温かく見守る。
 めんどくさい俺様ドSのヒーローですが、理解すれば扱いやすい人なので、笑えるんだよね。完全なラブコメ、しかもある意味ツンデレの王道を行っています。
 後半の出産にまつわるエピソードがまたおかしい。「陣痛の最中言ってしまった言葉!」というスレッド(まとめサイト)が2ちゃんねるにあるんですが、それを思い出した。旦那までつられなくてもいいのに、と思ったりしましたが(´ω`;)。
 それくらい妻を愛しているとも言えるか(違
(★★★★)

最終更新日 : -0001-11-30

Comments







非公開コメント