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2012 · 07 · 21 (Sat) 13:03

▼『三つ首塔』横溝正史

▼『三つ首塔』横溝正史(角川文庫)
 両親を亡くし、伯父の家にひきとられた宮本音禰(おとね)はある日、外国に住む遠縁男性・佐竹玄蔵の財産を全額相続する権利があると聞かされる。ただしそれは、玄蔵の決めた相手との結婚が条件だという。あまりのことに驚く音禰の周りで次々と殺人事件が起こる。彼女はいくつもの名を持つ得体のしれない男と行動をともにする羽目に陥り、次第に彼に惹かれていく。
・〈金田一耕助〉シリーズ(金田一耕助ファイル13)

 文庫の初版は1972年なのですが、発表は1955年です。旧角川文庫版を持っていましたが、今回読んだのは杉本一文カバー復刻版。なつかしい表紙だ(´д`*)。
 基本的に日本の小説は取り上げないのですが、夏休み特集(?)&ロマンス要素の高い作品という記憶から、今回再読しました。
 ヒロインの一人称で話が進むので、読み始めるまで金田一シリーズと忘れていた。まあ、読んだのは昔──中高生の頃だから仕方ないか。他のシリーズ作品と比べると異色作らしいし。
 でも読み進めるうちに、いろいろなことを思い出した。当時、私はこの作品に夢中になり、片岡千恵蔵主演の映画まで見たこととか(偶然、夜中にテレビでやった)。もちろん、千恵蔵が金田一耕助役ですよ。でも、スーツ姿で女性秘書まで連れていた。そのイメージしか残ってないよ(´ω`;)。映画の中身はすっかり抜けてる。
 金田一耕助シリーズだけでなく、とにかく横溝正史作品が大好きだったので、本だけでなく映画やテレビドラマも見まくりました。けど、TBSのドラマシリーズをちゃんと見られなかったのが少し心残り(ビデオデッキもなかったしね(´・ω・`))。今、CSなんかで再放送しているけど、当時の熱狂状態で見たかったなあ、と。
 私はあまり本格ミステリにくわしくないし、いい悪いがよくわからないのですが、お話として面白かったのは『獄門島』と『八つ墓村』かなあ、と思います。『八つ墓村』にもロマンス要素があったと思う。ていうか、けっこう他の作品にもあったはず。『犬神家の一族』とか、好きだ。
『八つ墓村』も再読しようか……。

 話がズレました。
 物語は、ミステリというより、ロマンスとケレン味たっぷりの娯楽作品という感じです。こんなにわかりやすかったかしら、と思いながらも、とても楽しめました。特にヒーローのドSぶりが目を引く。キャサリン・コールターにリライトしてもらいたいくらい(´ω`;)。
 くわしいあらすじです。

 百億円の財産を相続する権利があると言われた音禰(玄蔵老人はまだ存命)。高頭俊作という男との結婚が条件だが、彼は伯父の還暦祝いの夜に殺されてしまう。彼女はその夜、俊作のいとこの五郎に襲われ、純潔を奪われる。
 音禰と俊作が夫婦にならない場合には、遺産は指名された人々で等分に分けることになっているとの第二の遺言が発表されたが、その時にはすでにもう二人殺されていた。そのあとにも殺人は続き、犯人への手がかりが音禰に向いていることから、彼女は五郎と逃亡生活を送ることになる。
 五郎は「三つ首塔」という供養塔を探していた。そこには、この相続騒動の発端となった三人の男の木彫りの首が祀られているという。その塔の古い写真を見た時、音禰は不可解な戦慄を覚えずにはいられなかった。


 この五郎(他にも偽名多数)がヒーローなわけですが、力づくでヒロインをモノにし言葉責めでいたぶる割には溺愛しまくりな上、私大好物な設定(´Д`;)、というツボな男。正体はバレバレだしね。
 ヒロインも「この悪党!( ;Д;)」と罵りながらもメロメロのデロデロです。文体自体が悲劇のヒロインの嘆き口調なので、実際に読むと時代(芝居?)がかって見えるかもしれませんが、今風に頭で変換すれば無問題。世間知らずのお嬢さんという設定だけど、それで許せる範囲の間の抜け方だし、自分で言うほど弱くないと思う。ドSのヒーローにふさわしく、ドMと見た。
 ハッピーエンドなので、二人は幸せな結婚をするのですが、

「お父さん、お母さんがまた悲劇のヒロインごっこしてるよ(-_-;)」
「はっはっは、お母さんはやっぱりかわいいなー(´∀`)」


 とか言って子供にいやな顔をされそうなバカップル生活が目に浮かぶ。
 解決にはいくつか疑問点というか、気になるところもあるのですが、ロマンス的には充分萌えたので大満足です。
(★★★★☆)

最終更新日 : 2016-09-26

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